芸劇ブランチコンサートでブラームスを楽しんだ
2022年12月21日、東京芸術劇場で午前11時スタートの芸劇ブランスコンサート」を聴いた。今回は「ブラームスのソナタ」という副題の下、ヴィオラソナタの第1番とクラリネットソナタの第2番が演奏された。ヴィオラは佐々木亮、クラリネットは伊藤圭。ピアノはコンサートの企画者でありMCでもある清水和音。もちろん、ヴィオラソナタはクラリネットソナタ第1番をヴィオラ独奏に改めたもの。
私は何度かヴィオラソナタを聴いているが、やはりこれはクラリネットのほうがよい。少なくとも私は好きだ。クラリネットは低音と高音によって音色が変化する。ヴィオラはそんなことはない。ブラームスの当初の考えでは、やはりクラリネット特有に多様な音色を重視していたはずだ。だから、ヴィオラで演奏されると、もともと地味で暗い曲が、ますます地味になってしまう。
とはいえ、ブラームス晩年の境地をたっぷり味わうことができた。晩年といっても、ブラームスが死んだのが63歳だから、今の私よりも10歳近く若いわけだ。気持ちはよくわかる。諦観、陰鬱、過去の楽しかったことの回顧、残った生のエネルギーのざわめき。そんなものが交錯する世界。それがクラリネットのほうが多様な音色を使って、しんみりと、しかし、時に滑稽に描くことができる。ヴィオラだと、しんみりしてしまう。
いずれの曲も清水和音が輝きのある芯の強い音でサポート、佐々木のヴィオラは、まさに地味で誠実。きっとブラームスはこういう人だったのだろうと思わせるような音楽だった。まさにしみじみとした思いがこもる。
伊藤のクラリネットも堅実にして、ちょっと人間的だが、やはりしみじみ。
2曲のソナタの間に、清水のソロでブラームスのインテルメッツォの1曲が演奏された。ピアノにはあまり関心のない私だが、きれいな音に聞き惚れた。
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