ベルリン・シュターツカペレ ブラームス交響曲2日目 感動の2日間
2022年12月8日、サントリーホールで、昨日に続いて、クリスティアン・ティーレマン指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)の演奏を聴いた。曲目はブラームスの交響曲第3番と第4番。昨日と同じように素晴らしい演奏だった。
ただ、第3番に関しては、ちょっといじりすぎではないかと思った。第1楽章は、繊細に始まり徐々に勇壮になっていき大きく展開した。テンポが揺れ、時に音が小さくなったり、繊細さを強調するようになったり。私はとても納得した。しかし、第2楽章、第3楽章が細かいニュアンスは素晴らしいのだが、テンポが揺れすぎ、曲想が安定せず、私は少し煩わしく感じた。ただ第4楽章になってからはぐいぐいと音楽が推進され、ティーレマンらしい大きな高揚に至り、そして、引き潮になってゆくように音楽が終結した。終わってみれば、もちろん素晴らしかった。
第4番は文句なしの名演だと思った。第一楽章冒頭のメロディからして、テンポの揺れが実にロマンティックでニュアンスに富んでいる。第一楽章の終わりの盛り上がりはまさに最高。第2楽章、第3楽章と徐々に高揚して行き、第4楽章のパッサカリアになる。これらのそれぞれの変奏のニュアンスも豊かで、まさに楽器の色使いが見事。音の色が重なり合い,質感にあふれる、厚塗りされた絵画のような音の重なりがうねっていく。最後の2分間くらい、私は至福の中にいた。
先日、私の最も好きな日本人指揮者は誰だろうと考えたことを、このブログに書いた。コンサートの帰り、私の好きな現役の世界の指揮者は誰だろうとふと考えた。結論は出なかったが、バレンボイムとティーレマンは間違いなく有力候補だと思った。
感動の2日間だった。実に満足。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- オペラ映像「パリの生活」「友人フリッツ」「夢遊病の女」(2023.03.31)
- クオクマン&金川&東響 金川のコルンゴルトの協奏曲の音色に驚嘆(2023.03.25)
- WBC優勝、そしてN響メンバーの室内楽を堪能(2023.03.23)
- 東京春音楽祭 マニンガー&ベン=アリ 一本調子に感じた(2023.03.19)
- ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽 陰りのないフォーレ、ブラームス(2023.03.19)
コメント
>私の好きな現役の世界の指揮者は誰だろうとふと考えた。結論は出なかったが、バレンボイムとティーレマンは間違いなく有力候補だと思った。
パーヴォ・ヤルヴィが自分は入ってきます。このブラームスの二日目と同じ日にオール・ハイドンプロをドイツカンマーフィルとやりましたが、あまりにも予想を超える快演で嬉しくなってしまいました。
9日に「英雄」をメインとしたベートーヴェンプロをやるようですが行けないのが本当に残念です。
投稿: かきのたね | 2022年12月 9日 (金) 05時08分
かきのたね様
コメントありがとうございます。
シュターツカペレベルリンとティーレマン子ブルックナーもきっと素晴らしかったでしょうね。事情があって、今回見送ったのですが、ブラームスを聴いて、ブルックナーも何が何でも行くべきだったと思いました。パーヴォ・ヤルヴィとドイツカンマーフィル、今回はティーレマンと重なって、残念ながら行けませんでしたが、私にとってもヤルヴィはベストワン候補の1人です。
投稿: 樋口裕一 | 2022年12月11日 (日) 10時30分