« オペラ映像「クリスマス・イヴ」「椿姫」「愛の妙薬」 | トップページ | ベルリン・シュターツカペレ ブラームス交響曲2日目 感動の2日間 »

ティーレマン&シュターツカペレ・ベルリンのあまりに凄まじいブラームス

 2022127日、サントリーホールでクリスティアン・ティーレマン指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)のコンサートを聴いた。曲目は前半にブラームスの交響曲第2番、後半に交響曲第1番。凄まじい演奏だった。

 まずシュターツカペレ・ベルリンが素晴らしい。先日、東響の「サロメ」を聴いて、日本のオーケストラも世界に通用するようになったと思ったのだったが、(サッカーではないが、)世界の壁は厚いと改めて感じる。世界の一流は、一つ一つの楽器の音の色がちがう!もちろん、アンサンブルの音も違う。「音色」という以上に、まさに「音の色」の圧倒的な違いを感じる。なんという豊かな音の色だろう。まるでフェルメールやらのオランダ絵画を見ているかのような質感のある音。

 第2番の交響曲は、静かに、しなやかに始まった。だが、濃厚な強い音で見事に展開していく。ティーレマンの指揮はまさにドラマティック。まるでオペラを見ているかのよう。あちこちに仕掛けをし、タメを作り、時にしなやかに、時に激しくあおる。しかし、構築性は全く崩れず、小手先の仕掛けではなく、きわめてオーソドックスなアプローチであり、それぞれの仕掛けがきわめて音楽の理に適っているので、すべてに納得がいき、あざとさは全く感じない。これこそがブラームスの作りたかった音楽なのだろうと納得する。私はまさにティーレマンの魔法にかけられたかのように音楽とともに魂がゆすぶられるがままになってしまった。第4楽章、あっと驚くようなタメを作って、結尾部に入っていった。凄まじい高揚が巻き起こった。

 第1番はもっとドラマティックだった。第2番と同じようなアプローチだと思うが、こちらのほうが音楽自体がドラマティックなので、ティーレマンの指揮がいっそう威力を発揮する。第2楽章のヴァイオリンソロも美しい。第4楽章のホルンの音、そして、その後の高揚は言葉をなくすほど。私は何度感動に身を震わせたことか!

 今回の演奏は当初、バレンボイムの指揮が予定されていた。体調不良ということでティーレマンに変更になった。バレンボイムを聴けないのは残念だが、ティーレマンも私の大好きな指揮者だ。バイロイトでもザルツブルクでもティーレマンの名演奏に触れて深く感動した。今回も、バイロイトやザルツブルクで味わった同じような感動を味わうことができた。

 明日はブラームスの第3番と第4番の交響曲が演奏される。楽しみだ。

|

« オペラ映像「クリスマス・イヴ」「椿姫」「愛の妙薬」 | トップページ | ベルリン・シュターツカペレ ブラームス交響曲2日目 感動の2日間 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

私はこの前日のブルックナーに行ったのですが、あまりのオケの異常な程の没我的燃焼が凄くて、完全にKOされてしまいました。

おそらくブラームスも凄い事になるだろうと思ったらやはりという感じだったようですね。

ブルックナーの日はマイクが立っているのが見えたので、ひょっとすると録音されているかもしれません。ブラームスも録音されていたら嬉しいのですが。

いつかまたこの組み合わせで、今度はベートーヴェンが聴いてみたいです。

投稿: かきのたね | 2022年12月 9日 (金) 04時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« オペラ映像「クリスマス・イヴ」「椿姫」「愛の妙薬」 | トップページ | ベルリン・シュターツカペレ ブラームス交響曲2日目 感動の2日間 »