ルイージ&N響の「リンツ」と「スコットランド」 ちょっと一本調子に感じた
2022年12月9日、NHKホールでNHK交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮はファビオ・ルイージ、曲目はモーツァルトの交響曲第36番「リンツ」とメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。土地の名前に基づく二つの交響曲という趣向。
繊細で切れの良い演奏をしてくれるだろうと期待して出かけた。確かに繊細でキレがよかったが、私としては少々不満だった。もしかしたら、不満を覚えたのはまだ記憶の中に、一昨日、昨日と二日連続で聴いたシュターツカペレ・ベルリンの音があったからかもしれない。音の味わいにあまりに差がある。N響の音はなんと味わいのない、無機質な音であることか、と思わずにはいられなかった。昨日の濃厚で質感のある強い音とはまったく異なる。NHKホールとサントリーホールの違いもあったかもしれない。
ルイージの指揮も、少し一本調子であるように思った。「リンツ」については、確かにしなやかで活気にあふれているのだが、あと少しの雅というのか、色気のようなものを感じない。「スコットランド」も、勢いがあって、生命にあふれているのだが、陰りの部分や心の機微のようなものを感じない。勢いだけで押している感じがする。
これまで聴いたルイージは、こんなことはなく、もっとしなやかで気品があり、しかも切れが良かったと思うのだが、なんだかそうならなかった。リハーサル不足? あるいはルイージの得意な曲ではない? あるいはやはり私の側の問題であって、耳に昨日までのシュターツカペレ・ベルリンの音が残っているから?
まあ、こんな日もあるだろう。
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