ディオティマ弦楽四重奏団 魂を切り裂くリゲティと濃厚な叙情のブラームス!
2023年1月11日、東京文化会館小ホールでディオティマ弦楽四重奏団のコンサートを聴いた。曲目は、前半にツェムリンスキーの弦楽四重奏曲第1番とリゲティの弦楽四重奏曲第2番、後半にブラームスの弦楽四重奏曲第2番。
ツェムリンスキーの曲は、後期ロマン派的な雰囲気を濃厚に漂わせ、ちょっと病的ともいえるようなヴィヴィッドな官能性を加味して、とてもおもしろい演奏だった。第一ヴァイオリンのユン・ペン・チャオの音は音程がよくてシャープ。ほかの楽器も立体的といえるように音を重ねていく。この曲、実演は初めて聴くと思うが、とてもいい曲だと思った。
リゲティの曲も初めてだった。様々な奏法を繰り出して、まるで宇宙的なSF怪奇映画の劇伴音楽のように聞こえるが、その実、自分の心の奥底にある叫びそのものを描き出しているかのよう。楽器がぴたりと合い、重なり合い、魂を切り裂くような音、肉体を飛び上がらせるような音を作り出していく。ヴィヴィッドでスリリングでダイナミック・・・、というように横文字を並べたくなるような演奏。凄い!
ブラームスは、打って変わって濃厚な叙情的表現を表に出した演奏だった。しかし、叙情的表現とはいっても、決して感傷的ではない。シャープな音できわめて明快。ニュアンスを込めて、ゆっくりと、しっかりと演奏。そこに深い抒情が生まれる。第一楽章から第三楽章まで、かなりゆっくりとしたテンポだった。ちょっと退屈しそうになったが、もちろんこれは演奏者の解釈だろう。こうして、最終楽章になってテンポが上がり、それまで抑えていたものが広がっていく。シャープな音と音がぶつかり合って感情の火花を散らすかのよう。素晴らしかった。
チェロのピエール・モルロが日本語でアンコール曲を紹介。たどたどしい日本語だが、発音はとても性格。さすが、耳がいいのだろう。だが、残念ながら、肝心の作曲家名と曲名は原語の発音をしたようで、私は聞き取れなかった。「ラルゴ」と聞こえたが、そうだったかどうか・・・。
先日のクヮルテット・インテグラに続いて、素晴らしい弦楽四重奏を聴いた、満足!
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