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オペラストゥーディオ オペラ 「パリのジャンニ」を楽しんだ

 2023114日、稲城iプラザホールで、オペラストゥーディオ オペラ、ドニゼッティ作曲の「パリのジャンニ」をみた。ベルカント・オペラ・フェスティヴァル2022の一環。演じるのは、ベルカント・オペラ・フェスティヴァル芸術監督カルメン・サントーラさんのマスタークラスの歌手たち。ピアノによる伴奏、第一幕と第二幕でいくつかの役は別の歌手に交代しての上演。

「パリのジャンニ」というオペラについては、以前、DVDを一度みただけなので、よく覚えていないが、なかなかおもしろかった記憶がある。それが稲城で上演されるとなれば、みないわけにはいかない。なにしろ、稲城iプラザホールは、私の勤める多摩大学から3キロくらいのところにある。しかも、私は十数年前、この舞台に立って、戸田弥生さん、野原みどりさんのリサイタルの司会をしたことがある! 思い出のホールだ。それに、何と無料公演!

 もちろん若手による上演なので、超一流というわけではない。多くの歌手の演技はぎこちないし、歌も堅い人が多い。音程も時々不確かになる。だが、すべての歌手にとても光るものがあり、演技も楽しく、音楽そのものもとても充実していた。私は大いに楽しんだ。

 歌手陣の中では、第二幕のジャンニを歌った荏原孝弥が図抜けていると思った。輝かしい声という面では第一幕のジャンニ役の原優一に一歩譲るかもしれないが、しっかりとコントロールされ、音程はしっかりしており、実に素晴らしかった。繊細な声で、高音も美しい。完成された歌手だと思った。(ジャンニのアリア、ヴェルディの「リゴレット」のマントヴァ公爵の歌う「女心の歌」とよく似ているのに気付いた! もちろん、ドニゼッティの方がずっと先に作曲されたはず!)

 第二幕のプリンチペッサの米田七海もとても輝かしい声でとてもよかった。第一幕のロレッツァの塚本雛も安定していて十分に聴かせてもらった。そのほか、二つの幕の両方を歌ったオリヴィエーロの依光ひなの、シニスカルコの阿部泰洋、ペドリーゴの園田卓也も安定していた。

 第一幕プリンチペッサの岩崎香は、とてもきれいな声で容姿も素晴らしいが、ヴィブラートが強すぎて、発音が聞き取れなかったのが残念。

 指揮は鏑木蓉馬、ピアノは第一幕は小松桃、第二幕は金子渚。しっかりと音楽を作ってくれた。

 ただ、字幕の日本語訳がこなれていなかったり、脱字があったりなのが気になった。「王女」と「女王」が混在していたが、それでよかったのだろうか。

 ともあれ、ドニゼッティの珍しいオペラを研修生がこのレベルで上演してくれるのはとてもうれしい。日本のオペラのレベルの向上を改めて強く感じる。

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