樫本&ル・サージュ 内省的なブラームスの3番
2023年2月3日、サントリーホールで樫本大進&エリック・ル・サージュのリサイタルを聴いた。曲目は、前半にシューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番とブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番、後半にシューマンのヴァイオリン・ソナタ第3番イ短調WoO27、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番。
正直言って、前半はおもしろいと思わなかった。とても内省的な演奏だと思う。そうだとすると、このホールは大きすぎる。それに、シューマンの第1番がやけにおとなしい曲になっている。樫本大進のヴァイオリンは誇張せず、ロマンティックでありながらもかなり行儀がいい。まさに内省的に自らの心の中を探るような音楽。
私はシューマンのヴァイオリン曲を聴くと、いつもどうしても狂気のようなものを感じるのだが、それがない。私はけっしてシューマンの狂気は好きではなく、居心地の悪さを強く感じる(だから、シューマンは好きな作曲家ではない!)のだが、樫本とル・サージュのような、おとなしくて狂気じみたところのないシューマンを聴くと、シューマンの音楽にとって狂気じみたところは大きな魅力なのだと強く思う。これがないと、気の抜けたビールのような感じになる。
後半も シューマンの第3番は、狂気の中で死の前年に作曲し、死後にまとめられた曲。この時代のシューマンらしいよくわからない音楽だと私は思った。ただ、前半と違って、まぎれもなく狂気のようなものを感じた。わけのわからない曲だと思ったが、それはそれで、これぞシューマンだとも思った。
ブラームスの第3番は素晴らしかった。ただ、やはりこれももっと狭いホールで、演奏者と一体になれるような親密な空間で聴きたかった。そうするにふさわしい演奏だと思った。ブラームスの心の嘆き、やるせない感情、ぐっと抑えた熱情がこみあげてくる。ヴァイオリンとピアノがぴたりと合っている。ル・サージュのピアノはとても知的でしっかりした音。最後には感動した。
アンコール曲については、ル・サージュが日本語で曲名を言ったが、聞き取れなかった。曲を聴いて、もしかしたら、「クララ・シューマンのロマンス」といったのかな?と思った。確か、クララにこんな曲があった。2曲目も同じロマンスの中の曲だろうか。しみじみとしたロマンティックな曲だった。
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