新国立劇場オペラ研修所修了公演「コジ・ファン・トゥッテ」 素晴らしい上演!
2023年2月17日、新国立劇場中劇場で、新国立劇場オペラ研修所修了公演「コジ・ファン・トゥッテ」をみた。指揮は星出豊、演出・指導は粟國淳、管弦楽は新国立アカデミーアンサンブル。私は数年前から、研修所公演を楽しみにみている。ここ数年は、あまり感銘を受ける上演ではなかったので残念に思っていたが、今回はとてもレベルの高い上演。とてもよかった。
管弦楽はときどきずれや音割れがあったが、全体的にはしっかりと演奏。星出豊の指揮も、ゆっくりしたテンポで堅実に一歩一歩音を重ねていくくっきりした演奏で好感を持った。ただ、やはりこれは喜劇なので、後半、もう少しテンポをあげて、躍動感のある音楽にするほうがこのオペラらしいと思った。
歌手陣はとても充実していた。その中で私が最も感銘を受けたのは、ドラベッラを歌った杉山沙織だった。第1幕のはじめこそ、少し本調子でなかったと思うが、その後、声が出てきた。しっかりした表現力でドラマティック。フィオルディリージの内山歌寿美も劣らず素晴らしかった。フィオルディリージの歌はどれも難しいので、名歌手たちでも低音が出なかったり、音程がずれたりといったことは往々にして起こるが、そこはしっかりと踏みとどまって、表現力豊かに歌った。ドン・アルフォンソの大久保惇史も声量豊かで歌に余裕があるのが、この役にふさわしい。
グリエルモの長冨将士は音程の良い美声でしっかりと律儀なこの役を造形していた。フェルランドの髙畠伸吾は輝かしい声がとても魅力的だった。デスピーナの河田まりかは、この役にふさわしいかわいらしい容姿で、上手に「小間使役」の類型を自分のものにしていた。ただ、きれいな声だが、少し声量不足のため、表現の幅がやや狭いのを感じた。
演出はきわめてオーソドックスだが、センスが良く、舞台の回転もとても要領を得ていた。ただ、笑いが起こらなかったのが残念。着実で堅実な演奏だったので、舞台にも躍動感が生まれなかったのが原因かもしれない。
研修生による上演でこれほどまでに高レベルというのは驚くべきことだと思った。今後が楽しみな歌手たちだった。久しぶりにモーツァルトのオペラを堪能できた。やっぱりモーツァルトのオペラは楽しい!
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