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WBC優勝、そしてN響メンバーの室内楽を堪能

 2023322日。午前中は、昨日の準決勝に続き、WBCの決勝に興奮した。日本中がわいているが、私も興奮しているひとりだ。テレビをつけながら仕事をしようと思っていたが、昨日も今日もそんなどころではなくなった。夢中になって感動しながらテレビにかじりついた。大谷すごい、村上すごい、投手陣すごい。必死に戦う全員の姿が素晴らしい。そして何よりも選手たちが力を発揮できるように場を整えている栗山監督の手腕に圧倒される。いやいや、それ以上に、野球ってすごいスポーツだな!と改めて思う。

 私は小学校に入る前からの野球ファン(ただ、まだテレビがなかったので、野原でボール遊びをしているだけだった。長嶋の巨人入団の年に私は小学校に入学した)だが、日本のプロ野球とアメリカ大リーグの大きな差はずっと見せつけられてきた。それなのに、今やアメリカの大スターたちを敵に回して勝利している。オールドファンとしては感激しないわけにはいかない。

 

 夕方、まだ興奮が残る中、東京文化会館 小ホールで、東京春音楽祭、N響メンバーによる室内楽を聴いた。出演は、白井圭、森田昌弘(ヴァイオリン)、中村翔太郎、村松龍(ヴィオラ)、藤森亮一、小畠幸法(チェロ)。曲目は、前半にモーツァルトの弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515とボッケリーニの弦楽五重奏曲 ホ長調 G.275、後半にブラームスの弦楽六重奏曲第1番。

 先日のベルリン・フィルのメンバーによる演奏には少し不満を覚えたのだったが、WBCの野球と同じで、やはり日本人の演奏はこまやかでチームワークがいい。ベルリン・フィルのメンバーの場合、一人一人が張り合って元気に演奏するあまり、陰影がなくなっているのを感じたが、さすがにN響メンバーはみんなでしっかりと一つの解釈を共有し、陰の部分もあり、深みのある音楽を作り出している。

 モーツァルトもとても良かった。白井さんのヴァイオリンと藤森さんのチェロによる様々な感情を含んだ美しい音にしびれた。ボッケリーニの曲は、第2楽章があまりに有名だが、やはりちょっと単調。しかし、それでも十分におもしろく聴かせてくれた。

 しかし、やはり圧倒的に良かったのは、ブラームスの弦楽六重奏曲だった。弦楽器が絡み合い、ロマンティックな情念が寄せては返し、それを繰り返すうちに徐々に大きく高揚していく。第2楽章はとりわけそのような心の中の欲動のうねりが素晴らしかった。終楽章も抑制していた情念が広がり、解放される。弦楽器の音の美しさを堪能した。

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