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バッティストーニ&東フィルの「オルガン付き」に大満足!

 2023312日、オーチャードホールで、東京フィルハーモニー交響楽団3月定期公演を聴いた。指揮はアンドレア・バッティストーニ。

 曲目は、前半にベルリオーズの序曲「謝肉祭」とカゼッラの狂詩曲「イタリア」、後半にサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」(オルガンは石丸由佳)。私はガゼッラの曲については知識はなかったが、どうやらやりたい放題のド派手な曲を集めたのではないかとの予感がした。予感通りだった。

 バッティストーニが鳴らしまくる。放縦といえるほどの豊かな音響だが、全体的な構築もしっかりしている。躍動感にあふれて、まさに豊饒。ガゼッラの曲は、何でもありの音楽。最後には「フニクリ・フニクラ」が出てきて、狂喜乱舞というかディチュランボスというか、大音響の熱狂の音楽になっていく。とてもおもしろい。

 サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」は昨日のアルミンク&新日フィルの演奏に続いて、二日連続で聴くことになる。だが、演奏は正反対。アルミンク&新日フィルが抑制的で知的だったのに対して、バッティトーニ&東フィルは、前半の演奏に輪をかけた豊饒さ。昨日の演奏が痩せた「オルガン付き」だったとすると、今日は豊満な「オルガン付き」。ストイックなところは微塵もなく、思いっきり音楽を鳴らしている。各楽器が思いっきり鳴らしまくり、ホール中に轟音が響く。そこにロマンティスムが爆発し、祝祭感が広まっていく。もちろん第一楽章の後半は静まるが、最終部はまさに音の饗宴になる。オルガンありピアノあり打楽器あり。それらが色彩的に絡み合って巨大な音の万華鏡を作り出す。指揮ぶりも、まるで踊っているかのよう。しかし、音はけっして乱れない。力業といえば、力業だが、細かいところにも十分に神経が行き届いている。ここまでやってくれると、何も言うことはない。

 かつてバッティストーニ&新日フィルのベートーヴェンの交響曲を聴いた時には、私の体は拒絶反応を示したが、サン=サーンスでこのような演奏は願ったりかなったり。この曲はこうでなくっちゃ!

 昨日は痩せた「オルガン付き」を聴いて少々不満だった。今日はその分を取り返すことができた。

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