東京春音楽祭、リシエツキの加わるブラームスの室内楽に感動!
2023年4月5日、東京文化会館 小ホールで東京春音楽祭、ブラームスの室内楽Xを聴いた。出演は、矢部達哉、水谷晃(ヴァイオリン)、川本嘉子、横溝耕一(ヴィオラ)、 向山佳絵子(チェロ)、ピアノはヤン・リシエツキ。
曲目は前半にブラームスの弦楽五重奏曲 第2番、後半にピアノ四重奏曲 第2番。
前半は少し不満に思った。音楽が求心的にならずに、拡散していくのを感じた。リーダー不在で、各楽器が思い思いに音を出している感じで、一つにならない雰囲気。どれが主旋律なのか、どういうフレーズなのははっきりしない。輪郭がぼやけてしまう。もしかしたら、そのような演奏を目指したのかもしれないが、少なくとも私は納得できなかった。
後半、ピアノのヤン・リシエツキが加わると、音楽ががぜん明確になってきた。私はピアノ曲をあまり聴かないので、このピアニストについては名前を知っている程度だったが、確かに素晴らしいピアニストだと思った。一つ一つの音がしなやかでありながら明確で輝かしい。そのような音で実に生き生きと弾きこなす。しかも、完全に音楽をリードしている。前半の弦楽五重奏曲がリーダー不在を感じたのだったが、こちらでは若いピアニストが完全に音楽をリードしているように聴こえた。リシエツキは弦楽奏者の顔、特に矢部さんの顔をたびたび見ながら合わせていく。ここまでほかの奏者と顔を合わせるピアニストを初めて見た。こうして、しなやかでメリハリがあり、自然に音楽が流れ、輝かしく、エネルギーにあふれる音楽が展開されていった。
アンコールに、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番の終楽章。これは圧倒的に素晴らしかった。エネルギーにあふれ、ジプシー風の力が漲っている。感動した。
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コメント
全く同感です!僕の感じたことが見事に言語化されていて、お陰様で改めて演奏を堪能出来たように感じました。
有り難うございました。
投稿: 野口博司 | 2023年4月 6日 (木) 08時10分
野口博司 様
コメント、ありがとうございます。
同じような印象を持たれたとのこと、感想を共有されている方がおられたと思うと、私もとてもうれしく思います。私はピアノよりも弦楽器に強く感動する人間なのですが、昨晩は弦楽器をリードするリシエツキのピアノの音に深く感動したのでした。
投稿: 樋口裕一 | 2023年4月 6日 (木) 22時36分