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藤原歌劇団「劇場のわがままな歌手たち」 アガタ役の押川浩士に感嘆!

 2023422日、テアトロ・ジーリオ・ショウワで藤原歌劇団公演「劇場のわがままな歌手たち」をみた。一般に「劇場の好都合、不都合」というタイトルで上演されているオペラだ。私はDVDでこのオペラをみたことがあったが、実演を見るのは初めて。

 あるオペラ座で、歌手たちがわがままを言っていがみ合い、ついには一人の歌手の母親アガタ(バスで歌われる!)がしゃしゃり出てめちゃくちゃにしてしまう。そんな破天荒なオペラ。一つ間違うと、上滑りしてしまうところ、とてもおもしろくみることができた。指揮は時任康文、演出は松本重孝。合唱は藤原歌劇団合唱部、管弦楽はテアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ。

 アガタ役の押川浩士がまさに怪演。しっかりと歌い、演じて、本当に楽しかった。めちゃくちゃに歌っているように思えて、しっかり計算されつくした歌。見事。

 そのほか、作曲家の大石洋史、台本作家の和下田大典、興業主の坂本伸司、プローコロの久保田真澄、劇場歌手の持木弘など男性陣が特に充実。いずれも音程よく、しっかりした声で歌う。プリマドンナの坂口裕子、第二ソプラノの中桐かなえ、専属歌手の𠮷村恵も大健闘。

 オーケストラも十分にドニゼッティの世界を作ってくれた。若いメンバーだと思うが、頼もしい。演出については、これまでにDVDで見た上演よりも、私はずっと笑えた。

 ドニゼッティのオペラは他愛ないものが多いが、娯楽オペラとしては実に楽しい。声の妙技は味わえるし、大人のウィットも味わえる。藤原歌劇団がこのようなオペラを取り上げてくれるのはとてもうれしい。

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