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新国立劇場「リゴレット」 素晴らしい上演

 2023525日、新国立劇場で新制作「リゴレット」をみた。素晴らしい上演だった。

 まず、マウリツィオ・ベニーニの指揮する東京フィルハーモニー交響楽団がとてもいい。新国立劇場でこんなに中身の詰まったしっかりした音を出す東フィルを久しぶりに聴いたというと叱られるかもしれないが、率直にそう思った。冒頭からリゴレットの悲劇性を感じる激しい音が響いた。ベニーニの指揮はきわめてドラマティック。いい指揮者にあたると、新国立劇場も素晴らしい音楽を聞かせてくれる。

 歌手陣も素晴らしかった。中でもやはりリゴレットのロベルト・フロンターリがこの役にふさわしい強い声で、見事に憐れで怒りにあふれた道化を演じていた。いくつかのアリアで見せる表情の違いがとてもうまい。観客を引き込む。ジルダのハスミック・トロシャンはちょっと特徴のあるヴィブラートだが、とてもきれいな声。高音がとりわけ美しい。姿かたちも可憐。マントヴァ公爵のイヴァン・アヨン・リヴァスも張りのある明るい声で楽天的な女たらしを歌う。外国人勢3人はやはり群を抜いていた。

 日本人勢もしっかりと歌っていた。中でも、スパラフチーレの妻屋秀和とマッダレーナの清水華澄は外国人勢に負けない声量と表現力だと思う。外国人勢に清水の加わった第3幕の四重唱は4人のそれぞれの思いがしっかりと歌われ、しかも見事なアンサンブルをなしていた。モンテローネ伯爵の須藤慎吾も健闘。そのほかの小さな役に至るまで、まったくスキなくしっかりと演じられ、歌われた。

 演出はエミリオ・サージ。すべての幕で同じような構図が使われていたが、予算を使わずにするための工夫だったのか。特に新しい解釈はなかったような気がする。スパラフチーレとマッダレーナの兄妹が近親相姦的な行動をとるのにはどんな理由があるのだろう。このような演出も見たことがあるような気がするが、あまり意味があるとは思えない。

 全体的にはきわめて満足。このような世界レベルの上演を東京でみられるのは本当にうれしい。

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コメント

私も遅ればせながらリゴレットを観てきました。歌手も指揮も良かったですね。十分堪能しました。演出はシンプルでストレートなものでしたが、案外このような演出が長持ちするのかもしれませんね。

投稿: Eno | 2023年6月 2日 (金) 09時00分

Eno 様
コメント、ありがとうございます。
ブログを読ませていただきました。まったく同感です!
とりわけ、マントヴァ公爵についての考察、とてもおもしろく思いました。私はイタリアオペラにはあまりなじんでいないためもあるのですが、いまだに公爵の人物像がよくわからずにいます。確かに考えてみたいテーマですね。

投稿: 樋口裕一 | 2023年6月 2日 (金) 20時52分

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