エリアス弦楽四重奏ベートーヴェン・サイクル3日目 感動に震えた!
2023年6月7日、サントリーホールブルーローズでエリアス弦楽四重奏ベートーヴェン・サイクル3日目を聴いた。曲目は前半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第5番・第9番(ラズモフスキー第3番)、後半に第14番。
初日、2日目に続いて素晴らしい演奏だった。
第5番は、ちょっとユーモアを交えた雰囲気の演奏。あえて大袈裟な表現をして4人で心から楽しんでいる様子。それがこの曲の雰囲気にとてもあっている。このような演奏をハンガリーの団体で昔、聴いた記憶がある。その時、ちょっとジプシー的な演奏だと思ったが、今日もそんな印象を抱いた。それにしても、見事なアンサンブル。完璧に心を一つにして音楽の表情を楽器で表す。しかも、程よい温かみと鋭さを持っている。そして、第一ヴァイオリンの音色の美しさは比類ない。細身で明晰だが、とてもロマンティック。
第9番は、第3楽章のスラヴ風のメロディがとても美しく、そして、最終楽章の凄まじい速いテンポでの音の重なりに圧倒された。凄まじい高揚感。4つの楽章が一つの物語をなしている。迷いの中から徐々に晴れて明るい世界になり、スラヴ的な哀愁を覚えたり、悲しみを覚えたりしながら、激しくも明るい世界に没入する。それを4つの楽器が一つになって行っている。
そして、やはり第14番が圧倒的によかった。楽章の切れ目がないので、全体が緊密なつながりを持っている。それがとてもよくわかる演奏だと思った。一瞬の気のゆるみもなく、緊張感をもって音楽を進めていく。一つ一つの楽章の表情が明確にされ、しかもそれぞれがとても深みを感じさせる。魂の挑戦というか、魂の鍛錬というか。凄まじい世界を4人が作り出す。最終楽章はドラマティックに音が重なり合い、まさに圧巻。感動で身体が震えてきた。この曲でこれほど感動したのは、これが初めてかもしれない。
この団体、本当に素晴らしい!
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コメント
3日の貴評を拝見して、日曜の夜五日と七日のチケットを急遽購入して、この団体を聞くことができました。どちらも想像を絶する名演だと思います。最近のウイグモアホールやミュンヘンのコンクールを目指す若手のようなアプローチに比べると、古めかしいかも知れませんが、最後を聞くことのできたプラジャーク弦楽四重奏団のような(やっぱり131だったと思います)、情念のほとばしる演奏を堪能できました。
この四重奏団名前も知らず、今年のサントリーCMGは葵トリオとブラームスなどでと思っておりましたが、お陰様で素晴らしい演奏に出会えルことができました。
御礼ばかり申し上げます。
投稿: Hiroshi Noguchi | 2023年6月 8日 (木) 09時30分
Hiroshi Noguchi 様
コメント、ありがとうございます。
私のブログをきっかけに今回の演奏を聴いていただけたのでしたら、私としても、こんなうれしいことはありません。
それにしても、本当に素晴らしい演奏ですね。これまであまり知られていなかったことが不思議でなりません。今回の企画者の慧眼に感謝したい思いです。この先の演奏も楽しみです。
投稿: 樋口裕一 | 2023年6月 9日 (金) 09時04分