神奈川フィル「サロメ」 素晴らしかった!
2023年6月24日、横浜みなとみらいホールで神奈川フィルハーモニー管弦楽団によるリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」(セミ・ステージ形式)を聴いた。指揮は沼尻竜典。素晴らしい演奏だった。
歌手陣もきわめて高水準。まず、最初に登場するナラボート役の清水徹太郎と小姓役の山下裕賀が見事。ナラボートと小姓がオペラの雰囲気を作るので、とても大事な役だと思うが、完璧に役割を果たしている。そして、なんといってもサロメの田崎尚美が素晴らしい。厚いオーケストラに負けずにホール中に伸びのある美しい声が響いた。銀の盆の場面の歌も迫力満点。そして、ヨカナーンの大沼徹も深みのある高貴な強い声でこの役にふさわしい。
福井敬が急病のため代役としてヘロデを歌った高橋淳が卑小で臆病でありながら色好みというこの王の役を見事に歌った。私は実はこの歌手が大好きで、この人こそ日本最高のミーメ歌いだと思っているのだが、今回も日本歴代最高のヘロデだと思った。
へロディアスの谷口睦美も高慢で色気のあるこの役を最高度に再現していた。この役にしては若くて美しすぎるが、なるほどこのようなヘロディアスもあっていいだろう。そのほか、わき役を歌った歌手たちも実力者たちで、まったくスキがなかった。
そして、やはり沼尻の指揮の充実ぶりも特筆に値する。初めの音から緊迫感にあふれ、神奈川フィルの音を完璧にコントロールして、まさに縦横無尽に音楽を組み立てていった。神奈川フィルの音も私にはまったく不満はない。コンサートマスターの石田泰尚のソロもぞくぞくするような蠱惑的な音。このようなことを言うとあまりに失礼だが、神奈川フィルがこれほどまでに素晴らしい音を出すとは! 興奮して帰途に就いた。
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