エリアス弦楽四重奏団のベートーヴェンサイクル初日 親密なのにスケールが大きい!
2023年6月3日、サントリーホールブルーローズでサントリー・チェンバーミュージック・ガーデンの初日、エリアス弦楽四重奏団によるベートーヴェンサイクルを聴いた。曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1・3・15番。この団体の実演を初めて聴いたが素晴らしい弦楽四重奏団だと思った。
音色がそろっている。まるで1本の楽器から音が出ているかのよう。ぴたりと縦の線があって、4人が心を一つにして音楽を奏でていることを強く感じる。そして、第一ヴァイオリンの音色がとりわけ美しい。音程が良くて細身で、時に鋭く、激しく音が鳴るが、決して鋭すぎない。シャープさを売り物にしているような団体とはまったく異なる。第二ヴァイオリンだけが男性、ほかは女性だが、出てくる音楽は決してひ弱ではない。特に速く演奏するわけでもなく、テンポを揺らすわけでもなく、ごく正統的な演奏だが、しなやかで柔らかみがあり、親密な雰囲気が漂って、特異な存在感がある。
第1番は初々しくて、まさに親密さが表に出た演奏だった。若きベートーヴェンの心のひだが聞こえてくるような音楽だった。第3番も、だんだんとベートーヴェンらしさが表に出るが、バランスが良く、しなやかで、のびのびしていて、とても美しい。
前半を聴いた時点で、とても素晴らしいと思いながら、スケールの小ささを感じていた。親密で小さくまとまっている感じ。この感じでは、後期の弦楽四重奏曲はつまらないのではないかと勝手に心配していた。
だが、後半も素晴らしかった。いや、後半こそ素晴らしかった。同じようにアンサンブルが良く、4人がしっかりと一つの音楽を作っているが、少しもスケールの小ささを感じない。それどころか、全体が大きく躍動し、ベートーヴェンの心が躍り出てくる。第15番(作品132)は、まるでヴァイオリン協奏曲のようにヴァイオリンが活躍する曲だが、ほかの楽器がうまくヴァイオリンを導き、全体で大きな世界を作っていく。それにしても第一ヴァイオリンのサラ・ボトロックのヴァイオリンが美音で躍動して本当に素晴らしい。第3楽章のあまりに真摯な祈りの心を経て、最後は心を躍らせる。
明日以降が楽しみだ。
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