エラール・ピアノの親密な音
2023年6月16日、サントリーホールでサントリー・チェンバーミュージック・ガーデン、「エラールの夕べ」を聴いた。エラールというのは、壮年のブラームスがクララ・シューマンから譲り受けて愛用していたフォルテピアノのメーカーだという。サントリーホール所蔵のエラール・ピアノを用いてのコンサート。出演は、佐藤俊介(ヴァイオリン)、鈴木秀美(チェロ)、スーアン・チャイ(フォルテピアノ)。古楽器意を用いての、まさにブラームスの時代を再現するようねコンサート。
曲目はすべてブラームスの作品。前半にヴァイオリン・ソナタ第2番とチェロ・ソナタ第2番、後半にピアノ三重奏曲第3番。
まずはフォルテピアノのやわらかい音にびっくり。ちょっとくぐもっている感じで、前面に出る音ではない。だが、確かに雰囲気がある。親密な空間を作り上げる。
ヴァイオリン・ソナタは、佐藤俊介のヴァイオリンも穏やかでしなやか。親密さを強調した演奏だった。まさにブラームスの時代に、一般家庭で家族が演奏しているかのよう。ただ、佐藤がちょっと弦をグリスンド気味にして甘い音にしているのが気になった。これは、その時代によく使われた手法なのだろうか。私自身はもっとシャープな方が好みなのだが。
チェロ・ソナタは、音程を取るのが大変そうだった。だが、不安定な音程をしっかりと捉えていく様もまたとても雰囲気がある。
とはいえ、前半の二曲はまずは腕慣らしといったところ。
後半、三つの楽器による三重奏曲。これが圧倒的に素晴らしかった。ちょっと気になったのは、席のせいかもしれないが、チェロの音がほかの楽器に比べて少し小さかった気がする。だが、古楽の名人三人による演奏はさすが。完璧に三台の楽器が寄り添いあって土台のしっかりしたブラームスの世界を作っていく。終楽章の高揚感もみごと。
サントリー・チェンバーミュージック・ガーデンも、私は今日で9日目。実は家庭の事情で猛烈に忙しいのだが、その合間を縫ってのコンサート。コンサートが気晴らしになっているが、時間がない。よって、文章を書くのはこのくらいにする。
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