エリアス弦楽四重奏団ベートーヴェン・サイクル第5日 感動の鳥肌に襲われた!
2023年6月12日、サントリーホールブルーローズでサントリー・チェンバーミュージック・ガーデン、エリアス弦楽四重奏団ベートーヴェン・サイクル第5日を聴いた。曲目は前半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第6番と第16番、後半に第8番(ラズモフスキー第2番)。
第6番は短調の部分と長調の部分の対比を際立たせた演奏。楽曲の作りがとてもよくわかる。しかも、その対比が不自然ではなくぐいぐいと音楽を進めていく。とりわけ終楽章は深く陰鬱な部分と明るい部分が激しく入れ替わる。とても面白い演奏だった。
第16番は、ベートーヴェン最後の弦楽四重奏であり、ベートーヴェンが最後に達した高みの音楽だと思う。私は、この曲を、ある種、「非人間的」とでもいうか、それまでの人間主義を超越しているように思っている。ただ、エリアス弦楽四重奏団はそのことをあまり意識していないように思えた。中期の曲と同じようなアプローチだと思う。あくまでも楽器の音をベートーヴェンという人間の魂の叫びとして表現しているようだ。ちょっと私の思うこの曲とは違うが、もちろんそれはそれで見事な演奏。ベートーヴェンらしい苦悩が現れ、それに打ち勝つための戦いがあり、浮き立つ喜びがある。
後半の第8番が、やはりことのほか素晴らしかった。4つの楽器が一つになって人生の奥深くをえぐりだす。スケールが大きく、しかも繊細。第一ヴァイオリンの音色が本当に美しい。細身で高貴で、しかも強靭。そうでありながら、最近の若い人の演奏のように、これ見よがしにシャープなテクニックを見せるものではない。人間主義に富んでいるというか、あくまでも人間の心を描こうとしているように感じられる。
第3楽章のスラヴ風の旋律も美しく、終楽章の高揚も素晴らしい。私は最後の1分間くらい、感動の鳥肌に襲われた。
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