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台湾映画「少年」 人物とモノのしみじみとした存在感

 台湾映画「少年」をみた。台湾映画に疎い私は、巨匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の作品をみるのは初めて。台湾ニューシネマの原点ともいえる1983年の幻の作品のデジタルリマスター版だという。とてもいい映画だった。感動した。

 シングルマザーである母親シウインが実直な男性ターシュンと結婚したため、連れ子として新しい父親と暮らすことになった少年アジャの物語。父は優しくかばってくれるが、アジャは心を開くことができず、いつまでも反抗をやめず、不良仲間と連れ立って悪さばかりしては親は学校に呼び出されている。そして、中学生になると、刃傷沙汰まで起こし、ついに母は夫の間で板挟みになったと感じて自殺してしまう。アジャはさすがに心を入れ替えて軍隊に入る。そのような物語を、隣の家で暮らす同級生の女の子の目を通して語られる。

 わだかまりをもって素直になれない子どもの気持ちがとてもよく描かれている。どうしようもない悪ガキなのだが、憎めなく描くところもさすがというしかない。子どもたちの表情が生き生きとしており、舞台となった淡水の光景がとても美しい。登場人物ひとりひとりが立体感を持っている。

 淡々としたリズムだが、シウインのホステス時代の仲間の来訪、1学年下の女の子に対するアジャの不器用な恋が描かれ、それぞれの人物の過去が明らかにされたり、心の襞があらわになったりして、観客は静かに登場人物の心の中に入っていく。また、おもちゃや扇風機や古本などの小道具がさりげない存在感を示す。人物だけでなく、モノや風景も静かに、しかし雄弁に懸命に生きている人々の姿を語る。

 

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