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フォーレのピアノ四重奏曲 自分の悲しみにじかに触れるような音楽

 2023816日、東京芸術劇場で、「芸劇ブランチコンサート 〜清水和音の名曲ラウンジ〜 第43回 フォーレの世界にひたる」を聴いた。出演はピアノの清水和音のほか、チェロの佐藤晴真、ヴァイオリンの藤江扶紀、ヴィオラの佐々木亮。大御所の清水と佐々木のほかは、近年脚光を浴びている若手演奏家と言ってよいだろう。

 プログラムは、すべてのフォーレの作品で、チェロとピアノの演奏で、「シシリエンヌ」「エレジー」、ヴァイオリンとピアノの演奏で「ロマンス」変ロ長調、ヴィオラとピアノで「子守歌」、最後にピアノ四重奏曲第1番ハ短調。

 佐藤のチェロは音程の良いしっかりした音でロマンティックに歌う。フォーレらしい内向的な情熱が感じられた。私はエレジーの馥郁たる音にしびれた。藤江のヴァイオリンは音色が素晴らしい。気品があり、清潔でのびのびしている。心が洗われるような純粋な音だと思う。佐々木のヴィオラはしっかりと地に足を付けながらロマンティック。清水のピアノは音楽を推進していく。

 四重奏は飛び切りよかった。常設ではないメンバーでこれほど息のあった演奏を聴かせてくれることに驚いた。バランスがしっかりと取れている。もしかすると、ヴィオラの佐々木が二人の若手を上手に支えているのかもしれない。ヴァイオリンの純粋で高貴な音とチェロのロマンティックな音が重なり合ってい嬉々とした音楽になり、複雑に絡み合う内面を描き出していた。

 私はフォーレの室内楽を聴くと、自分の中の悲しみの感情と向き合った気持ちになってしまう。悲しいときに聴くといっそう悲嘆にくれ、昏くなっていく。自分の悲しみにじかに触れた気になる。だが、そうでありながら、それがけっして不快ではない。今日もそんな気持ちになった。

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