飯守泰次郎の訃報をみた!
2023年8月17日、朝、友人からのLINEでマエストロ飯守泰次郎が15日に亡くなったことを知らされた。新聞でも確かめた。とても残念、とても悲しい。
私が最初に飯守先生の演奏を聴いたのは、1972年、二期会の「ワルキューレ」公演だった。この若い指揮者は何者なんだ?と話題になったのを覚えている。それまでレコードで聴くばかりだった「ワルキューレ」の実演を日本人指揮者、日本人歌手で見て感動した。ワーグナーのまさに本格的演奏だった。私はいっぺんで飯守ファンになった。それ以来、ずっと飯守さんに注目していた。
東京シティフィルのワーグナーシリーズ、ブルックナー・シリーズはほとんどすべて聴いた。素晴らしい演奏だった。「フィデリオ」「こうもり」などのオペラも公演のたびに出かけた。京都や名古屋にも足を運んだ。何度、感動で身を震わせたことか! おそらく、私が最も数多くの実演を聴いた指揮者は飯守さんだろう。しっかりと地に足をつけたオーソドックスな解釈だが、しっかりと自己主張をし、納得できる形で世界を広げてくれた。稀有な指揮者だった。
何度か個人的にお話したことがある。最初は、バイロイト音楽祭で知り合った仲間たちと押しかけてワーグナー談義をさせていただいた。その後、私がラ・フォル・ジュルネのアンバサダーになるなどしていたために顔を覚えていただいたようで、声をかけていただいたこともある。私がブログに飯守さんの演奏の感想を書いた後に顔を合わせた時、それについて意見を言ってくださった。新国立劇場でお会いすると会釈をしてくださることも多かった。
近年、「もう飯守さんはブルックナーもほかの作曲家も繰り返し聴いて、どんな指揮をするかわかっているので、しばらく聴かなくていいか」という気になって、公演から遠ざかっていた。おからだがよくないとは聞いていたが、まさかこんなにすぐに亡くなるとは思っていなかったので、あと少ししてまた聴かせていただこうと思っていた。こんなことになって本当に残念!
また日本は優れた才能を亡くした。飯守さんの実演をもう聴けないと思うと本当に悲しい。
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コメント
飯守さんの訃報には私も驚きました。マネジメントのヒラサ・オフィスの発表によれば、前日には普通に夕食をとり、いつもの時間に就寝したとのこと。翌朝、急性心不全で亡くなったわけですが、きれいな亡くなり方だと思いました。だから余計に多くの方々の胸にしみるのではないでしょうか。
飯守さんのドイツ音楽の演奏は、どっしりして、幾分古風な音で、いかにもドイツ音楽!という演奏でしたが、古の巨匠の「悠揚迫らぬ」スタイルとは異なり、どこかアグレッシブな要素を秘めた点が特徴だったのではないかと思います。それはあのエイッと突き出す棒の動きに表れているのではないかと。あの棒の動きが懐かしいです。
投稿: Eno | 2023年8月18日 (金) 08時31分
Eno 様
コメント、ありがとうございます。マエストロの訃報につきましては、私も本当に驚きました。苦しむことのない最期だったご様子、マエストロらしいと思います。
ブログを読ませていただいております。読響、ヴァイグレの「リング」、そしてバイロイトの思い出、興味深く拝見しました。
奥様の体調がよろしくないとのこと、大変だと思いますが、どうかEno 様ご自身も体調を崩されませんように。奥さまの一日も早い回復をお祈りします。
投稿: 樋口裕一 | 2023年8月19日 (土) 09時02分