ヴェンツァーゴ&読響 「運命」の第3・4楽章に感動
2023年9月16日、東京芸術劇場で読売日本交響楽団土曜マチネーシリーズを聴いた。指揮はマリオ・ヴェンツァーゴ、曲目は、オネゲルの交響的運動第1番「パシフィック231」、交響的運動第2番「ラグビー」、そしてヴァイオリンのヴェロニカ・エーベルレが加わってバルトークのヴァイオリン協奏曲第1番。そして最後にベートーヴェンの交響曲第5番「運命」
オネゲルの2曲は音響的にとても充実した演奏だった。私はこの作曲家にあまりなじみがないのでよくはわからないが、しっかりと音が鳴り、推進力があり、色彩的だった。読響の持ち味も存分に発揮されただろう。
バルトークについては、しっとりした演奏だと思った。エーベルレのヴァイオリンの音色の美しさと不思議な叙情性に惹かれた。これまで私の聴いたこの曲はもっと乾いていてもっとヴィヴィッドだったような気がするが、エーベルレの優雅で美しい容姿のせいなのか、蠱惑的にすら聞こえる。ちょっとうちにあるCDを聴き返してみたいところだが、今、仮住まいにいるので、手元にCDがない。
エーベルレのヴァイオリンのアンコールは、ニコラ・マッテイスの「アリア・ファンタジア」だとのこと。超絶技巧の指づかいをしながら、叙情的で親しみやすいメロディを浮かび上がらせる無伴奏曲だった。楽しめた。
ベートーヴェンの「運命」については、私は第1楽章にはあまり惹かれなかった。テンポが速すぎて空回りしているように思えた。指揮者はあれこれと指示を出していたが、それが効果を発揮しているように思えなかったのは、私の錯覚か。もしかしたら、何かのアクシデントで指揮者も思いもよらぬ速さになってしまったのではなかろうかと勘繰ってしまうほどだった。だが、第2楽章以降は落ち着いてきた。じっくりと音楽が進んでいく。先日聴いたブルックナー演奏では、今どきの指揮者には珍しく「溜め」を作っているのを感じたが、ベートーヴェンではそれを感じなかった。ただ、短いフレーズごとにほんの少しテンポを速めてあおっていく雰囲気がある。テンポをいじるというよりも、時々アクセルを踏むように、勢いを増していく感じ。緊張感にあふれ、ぐんぐんと高揚していく。読響もさすがの音色。第3,4楽章は素晴らしかった。ヴェンツァーゴという指揮者、腰が低くて人のよい実務家タイプのように見えて、実は情熱家で畳み込んでいくタイプの指揮者のようだ。
・・・ただ、先日のブルックナーの第4番ほどには私は興奮しなかった。
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