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東京二期会「ドン・カルロ」 第3幕に別の作曲家の曲!!

 2023年10月14日、東京文化会館で東京二期会オペラ「ドン・カルロ」をみた。イタリア語5幕版。

 予備知識なしで見始めたのだったが、第3幕でびっくり。初めから私の好きなフランス語5幕版とかなり違っていたのだったが、第3幕にまったく知らない音楽が聴こえてきた。しかも、どう考えてもヴェルディの曲ではない! 演出のロッテ・デ・ベアの意図だろう。幕が終わって大慌てでプログラムを読んだ。現代作曲家ヴィンクラーの「プッシーポルカ」だとのこと。反プーチンのパフォーマンスに触発されて作曲された曲らしい。というわけで、どうやら、オペラ中のフィリッポ二世の圧政をプーチンと重ね合わせての演出ということなのだろう。この音楽に合わせて子どもたちが宮廷のまねごとをしていたが、私にはその意味がわからなかった。わかりたいとも思わなかった。演出に関して保守主義の私はヴェルディのオペラにほかの人の曲を混ぜるなんて言語道断。それに、わざわざ反プーチンにかかわる音楽を入れている割には、ストレートに反圧制というメッセージはそれほど明確ではなかった。というわけで、これも噴飯ものの演出の一つといってよかろう。

 音楽的には満足できた。

 歌手陣の充実には改めて目を見張る。やはり、ドン・カルロの城宏憲が素晴らしい。しっかりした明るめの声。抜けがよく、音程もとてもいい。エリザベッタの木下美穂子もきれいな声で安定している。ロドリーゴの清水勇磨もみごと。断末魔の歌唱は素晴らしかった。エボリ公女の加藤のぞみも迫力ある声でこの役を見事に歌った。フィリッポII世の妻屋秀和も安定していた。日本人の歌手陣のレベルが上がっているのを再認識。

 指揮はレオナルド・シーニ。丁寧な指揮ぶりで東京フィルの音をしっかりとコントロールしていたが、ただもう少し劇的に盛り上げてもよかったのではないかと思う。丁寧なのはいいが、このオペラの魅力である激しい憎悪と愛のからみあい、圧政と残虐さへの怒りが表出されていなかった。

 音楽的には満足だが、演出面で???…という近年のオペラではよくある感想を、今回も持った。

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