カヴァコスのフランクに興奮した
2023年10月19日、オペラシティ・コンサートホールで、レオニダス・カヴァコス ヴァイオリンリサイタル2023を聴いた。ピアノ伴奏はエンリコ・パーチェ。曲目は前半にラヴェル:ヴァイオリンソナタ(遺作)とプーランクのヴァイオリンソナタ、後半にドビュッシーとフランクのヴァイオリンソナタ。
フランス系のソナタを集めたコンサートだった。フランス系の音楽には、ちょっとした揺らぎがある。色気とでもいうか。ドイツ音楽のように生真面目に演奏すると、つまらなくなる。それをカヴァコスがどのように演奏するか関心があった。素晴らしかった。
折り目正しいというか、実に丁寧な演奏。隅々まで神経が行き届いており、テンポを揺らすこともなく、この上なく透明な美音できちんと弾く。しかし、行儀がよいというレベルの演奏ではない。ゆるぎない世界とでもいうのか、静謐で深い世界が広がっており、それが大きく高揚する。
プーランクのソナタもドビュッシーのソナタも、諧謔というのか、ちょっと大袈裟にしておもしろく弾きたくなるような部分がある。多くのヴァイオリニストがそうしているだろう。だが、カヴァコスはそんな部分もあくまでも生真面目に演奏する。だから、ある意味で面白みがない。だが、そこでも研ぎ澄まされた深い世界が作り出される。凄い! アンコールで弾かれたラヴェルのソナタの第2楽章の「ブルース」も、スウィングしながらも透明で揺るぎのない音の世界が広がる。
とりわけフランクのソナタは圧巻だった。興奮した。ピアノもとてもいい。カヴァコスをしっかりと理解し、見事フランス音楽を作り出している。フランスのヴァイオリニストとピアニストが演奏するような色気のある演奏ではないが、ゆるぎない音によって作曲家の心の奥から湧き出てくる内面がしっかりと聞こえてくる。少しも乱れることなく研ぎ澄まされた美音で弾いて、第2楽章と第4楽章は最高に高揚していった。私は何度も心の底から感動した。
アンコールはラヴェルのソナタのほかに「フォーレに名による子守歌」。これもよかった。
昨日のマケラ指揮のオスロ・フィルによるシベリウスに続いて、今日も興奮。満足だった。
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