メネセスの無伴奏チェロ とても良かったが、ちょっと退屈した
2023年11月15日、トッパンホールでアントニオ・メネセス無伴奏チェロ リサイタルを聴いた。曲目は、現代作曲家のバッハのオマージュのような無伴奏チェロ曲の後に、そのままバッハの無伴奏組曲が演奏される形で進んだ。
最初にロナウド・ミランダの「エティウス・メロス(バッハへのオマージュ)」、それに続いてバッハの無伴奏チェロ組曲第1番。アルメイダ・プラドの「プレアンブルム」、それに続いてバッハの無伴奏チェロ組曲第3番。後半には、マルコ・パディーリャの「インヴォカシオ第1番」につづいて、バッハの無伴奏チェロ組曲第6番。
メネセスは、その昔、カラヤン指揮の「ドン・キホーテ」のレコードを聴いたころから気になるチェリストだった。当時は若手だったが、もちろん今は大ベテラン。あまり注目を浴びないが、とても良いチェリストだと思う。
今回の演奏も、とてもよかった。ふくよかでのびのびとして自然体。嫌味なところがなく、わざとらしさがまったくない。バッハの音楽はこんなに自然なのだとつくづく思う。とりわけ、バッハの組曲第6番はおおらかでスケールが大きくて、わくわくするところがあった。
ただ、実はちょっと物足りないとは思った。とてもいい演奏なのだが、あまり個性的でないので、私のような俗物根性の強い人間は聴いているうちにちょっと飽きてくる。私の修行が足りないと言えばその通りなのだが、もうちょっと何とかしてくれないかなと思ってしまう。きっとメネセスは育ちのよい、善良で健康な人なのだろう。が、もう少し我の強い、ちょっと狂気じみたところのある演奏のほうが、やはり面白さを感じる。
そんなわけで、「いいなあ」と思いながら、あまり感動しないまま終わったのだった。
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