メイエ&東響のモーツァルト クラリネット協奏曲を堪能
2023年12月2日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、モーツァルト・マチネを聴いた。演奏は東京交響楽団、指揮はポール・メイエ。
曲目はすべてモーツァルトの名曲。オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」序曲と、メイエが「吹き振り」してクラリネット協奏曲、そして交響曲第41番「ジュピター」。
メイエの指揮については、かなり穏当で、育ちの良い音楽というか、たたずまいが上品で安定した音楽だった。「コシ・ファン・トゥッテ」序曲では溌溂とし、「ジュピター」ではしなやかでスケールが大きく、最終楽章はダイナミック。ただ、予想した通りの音が出てくるので、とても良いのだが、多少物足りないといえなくもない。メイエが全体をしっかりと把握しており、楽器の良さも引き出しており、東響のメンバーもしっかりと良い音を出している(それにしても、クラリネット奏者はメイエの指揮だと緊張するだろうなあと思った!)のだが、「うーん、ふつう・・・」と思ってしまう。
クラリネット協奏曲については、さすがに素晴らしかった。クラリネットの音は本当に素晴らしい。気品にあふれ優美でしかも深みがある。音の刻みがとても正確で切れが良いのだが、全体的に優雅なので、それが冷たく響かず、むしろ気品を高める。クラリネットの楽器が持つ様々な表情(深く沈潜したり、ちょっとおどけた感じだったり、叫び声のようだったり)を見事に聴かせてくれた。さすがだと思った。
ただ、これも指揮については何もしていない感じ。リハーサルでしっかり指示をしていたのかもしれないが、ほとんどメンバーのほうは向かず、手もほとんど動かさず、ずっと客席を向いてクラリネットを吹いている。コンサートマスターの小林壱成さんに任せきりなのだろうか。
12月の午前中、気品にあふれて深みがありながらも躍動感にあふれるモーツァルトを聴けて、ともあれ幸せ。
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