デ・フリーント&読響の第九 すべてそろった名演!
2023年12月23日、東京芸術劇場で読売日本交響楽団のベートーヴェンの「第九」演奏会を聴いた。今年の年末の最初の第九。指揮はヤン=ウィレム・デ・フリーント(かつてはフリーントではなく、フリエンドと呼ばれていた)。素晴らしかった。興奮した。
速いテンポで、弦楽器にほとんどヴィブラートをかけない古楽奏法的な演奏でぐいぐいと音楽を進めていく。起伏が大きくドラマティック。ティンパニの音が強烈に響く。金管楽器も咆哮しているように響くところがあるが、それがとても魂に響く。古楽系の多くの演奏と同じような雰囲気だが、音楽の形が崩れず、緻密に組み立てられているので、ほかの古楽系の演奏以上に私は惹かれた。凄まじい第一楽章だと思った。何度か全身に感動の震えが来た。第二楽章もよかったが、ただ私は第一楽章ほどの衝撃は覚えなかった。第三楽章がことのほかすごかった。それぞれの楽器の表情も見事。フレーズが自然につながり、徐々に高揚していく。まったく無駄がなく、緊密に音が連なっている。ファンファーレに部分はまさに視野が突然広がる感じ。天上に突き抜けた感じがした。
第四楽章もよかった。歌が入る前も緊張感にあふれており、「喜びの歌」がチェロで入る部分も感動的。歌手陣もよかった。バスの加藤宏隆は日本人離れした深い声。Nichtのところで指を一本上げるなどの仕草も加えてややオペラ的な歌唱。それも堂に入っている。以前から何度か聴いて凄い歌手だと思っていたが、さすがというしかない。テノールのアルヴァロ・ザンブラーノもよかった。ソプラノの森谷真理も見事な声。メゾ・ソプラノの山下裕賀は、ふだんは目立たないこのパートをとてもしなやかに歌って、これも素晴らしかった。
そして、三澤洋史の合唱指揮による新国立劇場合唱団も勢いのありながらもとても正確な歌を聴かせてくれた。指揮、オーケストラ、歌手陣、合唱とすべてがそろった名演奏だった。
私は実はこの曲は第三楽章までは完璧だと思うが、第四楽章は、完璧な仕事が終わった後のどんちゃん騒ぎみたいなものだと思っている。祝祭感という力業で押し切っているが、あちこちにほころびがあるのを感じる。もちろんだからと言って、私はけっして嫌いではなく、大いに楽しんではいるのだが、ふだんはさほどこの部分で感動することはない。が、今日は第四楽章にも深く感動した。最後の祝祭感も最高だった。本当に興奮した。
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