準・メルクル&N響 オーチャード定期 楽しいコンサートだった!
2024年1月8日、オーチャードホールでNHK交響楽団オーチャード定期を聴いた。私にとって今年最初のコンサート。指揮は、準・メルクル。
曲目は、前半にデュカスの交響詩「魔法使いの弟子」、トマ作曲のオペラ「ミニョン」の「私はティタニア」、そして、ヨハン・シュトラウス2世の「常動曲」と「春の声」(「ミニョン」と「春の声」のソプラノは森野美咲)、後半にブラームスの交響曲第1番。とても良い演奏だった。
「魔法使いの弟子」は、小中学生のころ、よくレコードで聴いたが、もしかすると実演で聴いたのはこれが初めてだったかもしれない。大人になってから聴くほどの曲ではないとなんとなく思っていたが、どうしてどうして。色彩的なオーケストレーションのとても楽しい曲だと改めて思った。メルクルの指揮もN響の音もとても繊細で色彩的で素晴らしいと思った。「私はティタニア」もとても色彩的。森野美咲の声もとても美しく、私にわかる限りフランス語の発音もとてもきれいだった。
ただ、ヨハン・シュトラウスの曲については、ちょっと気まじめすぎる気がした。もう少し躍動感というか、羽目を外したところというか、そんなところがあってもいいのではないかと思った。もっと弾んだ雰囲気がほしい。森野の歌も、声はとてもきれいなのだが、あと少しの爆発力がほしいと思った。
後半のブラームスもとてもよかった。比較的肩に力の入らない冒頭部分。誠実に、しっかりとテンポを取って誇張なく淡々と音楽を進めながら、徐々に高揚していく。だんだん、だんだんと音楽が熱くなっていく。そして、各楽章の後半部分になってクライマックスがうまれてくる。力演タイプではないが、しみじみとした曲にしていく。
第2楽章が特に素晴らしかった。精密で繊細な音。コンサートマスター郷古廉のソロ・ヴァイオリンが凛として美しい。第4楽章の盛り上がりも素晴らしい。無理をせず、誇張せず、自然に音楽が進んでいくが、前半の音楽がすべて伏線になって、後半、いやがおうにも盛り上がる。それがすごいと思った。後半、私は興奮でわくわくした。
アンコールは、ヨハン・シュトラウス2世のポルカ「狩りにて」。メルケルが曲目を語って演奏が始まったが、私には「ポルカ」という言葉が聞き取れただけだったので、きっとハンガリー舞曲がアンコールだろうと思っていた私は、ブラームスにポルカなんてあったっけと思って焦ったが、そうかヨハン・シュトラウスだったか。これも端正だったが、アンコールだけあってさすがにちょっと羽目を外した部分があってとても楽しかった。実を言うと、前半のヨハン・シュトラウスの演奏もこんな感じで演奏してほしかった。
前半は楽しい曲、後半は感動する曲。このような新春のコンサートは実にうれしい。
ところで、ちょっと思いだしたことがある。
私が生まれて初めて購入したレコードは、17センチ盤の「ウィリアム・テル」序曲だった。小学校の音楽鑑賞の時間に聴いて大感動。親に無理を言って貧弱な電気蓄音機を買ってもらってレコードを買ったのだった。そのB面がトマ作曲の「ミニョン」序曲だった。圧倒的に「ウィリアム・テル」序曲のほうが楽しくて、B面はめったに聴かなかった。1961年か62年ころのことだ。
ところで、近年になってオペラ「ミニョン」DVDを見つけた。CDでも「ミニョン」序曲を聴いてみた。ところが、近年聴くこの曲は、私がかつてレコードでなじんでいた「ミニョン」序曲と異なる気がする。私がかつて聴いていたこの曲には、今日聴いた「私はティタニア」のメロディが入っていた。ところが、最近になって聴くこの序曲にはこのメロディがない。二つのヴァージョンがあるのだろうか。その情報を探したがネットでは見つからなかった。
かつてのレコードが誰の演奏だったか忘れてしまった。オーマンディ指揮、フィデラルフィア管だったような気がするが、記憶違いかもしれない。私はその後、家を離れて大学に進んだし、親は転勤族だったので、そのレコードもとっくに失った。確かめるすべはない。どなたか事情をご存じないだろうか・・・。
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