国立文楽劇場で令和6年初春文楽公演をみた
2024年1月3日と4日、大阪の国立文楽劇場で「令和6年初春文楽公演」をみた。私は文楽初心者だが、浄瑠璃の本場である大阪に国立劇場があり、毎年、最高の人たちの出演する新春公演が行われていると、恥ずかしながらつい最近知って、友人にチケットの手配をしてもらって出かけることにしたのだった。
3日の午後、大阪に到着、そのまま「伽羅先代萩」の竹の間の段、御殿の段、政岡忠義の段、床下の段。夕方から、「平家女護島」の鬼界が島の段、「伊達娘恋緋鹿子」の八百屋内の段、火の見櫓の段。4日の午前中、「七福神宝の入舩」、「近頃河原の達引」の四条河原の段、堀川猿廻しの段。堪能した。
本来、それぞれの段を語った太夫や三味線弾き、人形遣いの方々のお名前を書くべきなのだろうが、私は圧倒的な初心者で、今はまだ文楽のストーリーを追いかけているだけの状態なので、ここには書かない。ただ、豊竹呂太夫をはじめとする太夫、鶴澤清治、鶴澤燕三をはじめとする三味線のほとんどが圧倒的だった。人形の動きにも圧倒されるばかり。
政岡忠義の段は、腹をすかせていることを語る部分が長くてそこは少々退屈したが、その後の忠義の場面は凄い。鬼界が島の段の島に取り残された俊寛の人形の動きと場面転換の巧みさには感動。火の見櫓の段の活劇スペクタクルは楽しめた。そして、堀川猿廻しの段では、老いた母の心情に涙し、猿回しの場面に深く感動した。
初心者につき、このくらいしか書けることがないのが残念。
ところで、このところNHKから出ている文楽DVDをみている。先ごろ「妹背山婦女庭訓」と「菅原伝授手習鑑」のDVD通してみて、文楽という芸術の凄さを痛感した(「義経千本桜」と「仮名手本忠臣蔵」は購入したまままだ観ていない。現在、いくらか理解を深められるように予習中)。本当にすごい芸術だとつくづく思う。
なぜこれほどの芸術があまり日の目を見ない状態にあるのだろう。そして、通しですべての段を上演すれば、これほどすごいのに、なぜ一つ、あるいはいくつかの段に分けて上演されるのだろう。
バイロイト祝祭劇場での「ニーベルングの指環」の上演のように数日かけて上演してもいいではないか。それこそ、日本のどこかの劇場で通し狂言をずっと上演してもいいではないか。世界の人を呼んで上演したら、きっとバイロイト祝祭劇場のように、世界中から人が集まってくるのではないか。適切なガイドがあれば、西洋の人もきっと心から感動すると思う。そして、多くのワーグナー好きがバイロイトにはるばる行きたいと思うように、世界のファンが集まるだろう。
これほどレベルの高い芸能を持っていながら、日本人もほとんど知らず(かく言う私も70歳を超して数人の友人に勧められて知ったばかり!!)、外国からもあまり知られずにいるのは、あまりにもったいない。
今、国立劇場が建て替えのために休館になっている。そして、建て替え計画が頓挫しつつあり、このままでは東京の古典芸能の殿堂が失われてしまう可能性が高いという。バイロイト祝祭劇場は建築されてから150年以上たっている。それに比べれば、バイロイト祝祭劇場よりも100年近く後に建てられた東京の国立劇場などまだ十分に新しい! 耐震工事などをして、そのままそれを世界に向けての会場に使えないか。日本を観光立国にするというなら、観光地だけでなく、日本の古典芸能を世界に理解してもらうことを考えるべきではないか。古典芸能に造詣の深い文化人、経済人が中心になって、もっと活動してくれないだろうか。
能登半島で大きな地震があり、羽田で大きな事故があって波乱含みの新春だが、このようなことを考えたのだった。
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