札響東京公演 いぶし銀のバーメルトの音楽
2024年1月31日、サントリーホールで札幌交響楽団東京公演2024を聴いた。指揮は首席指揮者マティアス・バーメルト。
曲目は前半にイアン・ボストリッジ(テノール)とアレッシオ・アレグリーニ(ホルン)をソリストとして、ブリテン作曲の「セレナード~テノール、ホルンと弦楽のための」、後半にブルックナーの交響曲第6番。
ブリテンの「セレナード」は初めて聴いた。テニスンやブレイク、ベン・ジョンソン、キーツなどの夜にまつわる詩から成る。ボストリッジの明晰でよく通る美声、アレグリーニの弱音の美しいホルン、超時代的ともいえるような清澄でしなやかな曲想。そして、弦楽器の柔らかくて繊細な音。素晴らしかった。ボストリッジとアレグリーニという二人の世界を代表する演奏家だけのことはある。ただ、言葉がよくわからなかったので、そのうち字幕付きで聴きたいと思った。
後半のブルックナーの第6番はまさにいぶし銀の音楽。いぶし銀という言葉はこの指揮者のためにあるとさえ思った。かつて札響を指揮して旋風を巻き起こしたエリシュカもいぶし銀の演奏だったが、バーメルトはいっそうそれを感じる。
少しも誇張したところがない。「これがブルックナーだ!」と押し付けるようなところが少しもない。指揮の動きも省エネだし、出てくる音楽も省エネというか、音量は大きくない。だから、実を言うと、ちょっと物足りなくはある。もっともっとブルックナーらしく盛り上げてもいいではないか、もっとフォルティシモも強調してもいいのではないかと思う。だが、バーメルトはそうしない。まるで、シューマンやブラームスのように演奏しているように聞こえる。第3楽章のスケルツォもちょっと遠慮がちというか。だが、すべての楽器がしっかりとバランスを保ち、繊細に演奏されるので、音楽が構築的に出来上がっていく。そして、間違いなくブルックナー独特の世界が出来上がっていく。最後には私は間違いなくブルックナーを聴く時の感動に襲われる。本当にいぶし銀の世界。凄い。オーケストラも本当に良い音を出している。堪能した。
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