エスメ四重奏団のベートーヴェンに興奮!
2024年1月21日、紀尾井ホールでエスメ四重奏団のコンサートを聴いた。
実は、この団体についてはほとんど何も知らなかった。ポスターを見て、ファニー・メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲とベートーヴェンの13番の弦楽四重奏曲が演奏されるのを知り、まあ聴いてみようかと軽い気持ちでチケットを購入したのだった。
で、聴いてみたら、すごい! これはとてつもない団体ではないか!
エスメ四重奏団は韓国人女性四人によって2016年に結成された若い団体だ。現在は、ヴィオラが西洋人の男性に変更になっている。
曲目は、最初にハイドンの弦楽四重奏曲第41(29)番ト長調「ご機嫌いかが」というタイトルで知られている曲。くっきりとして一つ一つの楽器の音が鮮明に聞こえ、その絡み合いが美しい。音程が素晴らしく良く、リズム感もいい。しかし、無機的ではなく、ハイドンらしいおちゃめな様子と人間性が聴こえてくる。
ファニー・メンデルスゾーンはもっとよかった。やはり弟のフェリクスに比べると、ちょっと稚拙。だが、初々しい感性。歌心にあふれ、しかも思いのこもった音楽。とりわけ第3楽章以降の演奏が素晴らしかった。小気味よく切っ先鋭い強い音がロマンティックなメロディを奏でる。女性らしい音楽などではない。細身だが、強くて激しい音。終楽章の音の重なりも圧巻。
後半のベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番(大フーガ付き)。これもすさまじかった。研ぎ澄まされたシャープな表現。しかし、エベーヌ弦楽四重奏団ほどではなく、東洋人中心であるせいか、どこか柔和さもあり、それが私にはほどよく響く。若い女性たちなのに、その音楽には年齢を経たものにしかわからないような深みがあるのを感じる。第5楽章「カヴァティーナ」で感動に震えた。かすかな音の中にロマティックな律動が聴こえる。人間の心の中の静かな静かなリリシズム。本当に美しい。そして、「大フーガ」は、鋭い切っ先で四つの楽器が縦横無尽に音を投げつけ、峻厳なる宇宙を作り出していく。ただただ圧倒された。
感動した。興奮した。凄い弦楽四重奏団が現れたものだ。日本にも圧倒的な力を持つ若手の団体が現れている。頼もしい限りだ。
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