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オペラ彩の「魔笛」 充実した歌手陣による見事な公演!

 2024年1月20日、和光市民文化センター・サンアゼリア大ホールでオペラ彩設立40年記念公演「魔笛」をみた。

 オペラ彩は和田タカ子さんが総合プロデューサーとして埼玉県で続けてきたオペラ団体。レベルの高い公演が毎年なされてきた。ピアノ伴奏の小さな公演や演奏会形式公演でさえもなかなか難しい中、本格的なオペラを、しかも高いレベルの公演をしてきたことは並大抵に努力ではなかっただろうことが想像される。この活動のおかげで埼玉県民はオペラになじみ、その素晴らしさを知っただろう。大変な功績だと思う。

 今回は、天沼裕子の指揮、直井研二の演出、管弦楽はアンサンブル彩。

 歌手陣は実に充実していた。私が最も心を惹かれたのはパミーナを歌った斉藤真歩だった。澄んだ美声。ほんのちょっと音程の怪しいところを感じたが、テクニックも見事。夜の女王の奥村さゆりも堂々たるコロラトゥーラで十分に声の余裕もあった。東城弥恵、川口詩子、丸山奈津美の三人の侍女もしっかりした声。ただ三重唱になるとちょっと声が濁って聞こえた気がしたが、気のせいだったか。石塚幹信(モノスタトス)、大澤一彰(タミーノ)、原田勇雅(パパゲーノ)も好演。ザラストロの佐藤泰弘は、もちろん悪くないのだが、もっとどっしりした声がほしいと思った。ちょっとザラストロにしては細い声だと思った。

 三人の少年たちは素晴らしかった。また合唱やバレエもとても見事。みんなでオペラ全体を作っていこうという態度があちこちで見えて、とてもうれしかった。

 演出は、かなり妥当なもの。初めてオペラをみる市民がたくさんいるのだから、それが当然だろう。しかも、序曲の部分で、このオペラのストーリーのわかりにくさ(どう考えても、途中で話が逆転しているとしか思えない!)を補うために、夜の女王が初めから悪巧みをしていることを知らせる字幕をつけていた。セリフは日本語で、後半は十分に笑いを取っていた。これらも成功していたと思う。

 私が最も気になったのは天沼の指揮だった。オーケストラそのものもとてもレベルが高い。きれいな音。それを天沼は、ずっとかなりのスローテンポで、しっかりとゆるぎなく音を鳴らし、丁寧に、緊張感をもって、しっかりとオーケストラをコントロールして音楽を進めていく。それは素晴らしい。しかし、全体を通して同じ調子なので、音楽にあまり表情の変化がなく、一本調子になっていた。もっと暗い部分、明るい部分、わくわくする部分、甘美な部分などがあるはずなのに、それがあまり感じられなかった。このような演奏にしたことに何か意図があったのだろうか。私には理解できなかった。

 とはいえ、全体的にはレベルの高い公演。このような公演が市民団体(特定非営利活動団体とのこと)によって行われるとは本当に奇跡に近いと思った。

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