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オペラ映像「アマールと夜の訪問者」「ラ・ファヴォリート」「女の手管」

 それなりに忙しくしているが、その中で何本かオペラ映像をみたので簡単な感想を記す。

 

メノッティ 「アマールと夜の訪問者」(ドイツ語版)20221217,18日 ムジークテアター・アン・デア・ウィーン、ミュージアム・クォーター

 タイトルは知っていたが、初めてこのオペラをみた。夢幻劇とでもいうか。簡単に言うと、障害のある子供アマールのもとに東方の三博士がやって来て障害を治す・・・という奇跡の物語。

 演出はステファン・ヘアハイム。原作では少年は病を治してもらったお礼に三博士とともに旅をするはずだが、今回の演出では、少年は死んで、昇天した少年が三博士と行動を共にすることになっている。ただ、このオペラになじみのない私としては、それにどのような意味があるのかよくわからなかった。寓意があるのだろうか。オリジナルのオペラの寓意もよくわからないし、ヘアアイムの意図もよくわからない。

 アマールを歌うのは、ウィーン少年合唱団の日本人団員、石嶋天風。きれいな声で音程もいいが、声に威力がないのが残念。あえてこのような歌い方をしているのだろうか。アマールの母のシャミリア・カイザー、三人の博士の歌手陣はとても安定。マグヌス・ロドガール指揮のウィーン交響楽団もまったく不満はない。

 

ドニゼッティ 「ラ・ファヴォリート」20221115,18日 ベルガモ、ドニゼッティ歌劇場

 歌手陣についてはとてもレベルの高い上演だと思う。レオノールのアンナリーザ・ストロッパは容姿もこの役にふさわしく、声も伸びている。図抜けているとまではいかないが、十分に役に入り込んで美しく歌っている。フェルナンのハビエル・カマレナは容姿の面では損をしているが、歌は相変わらず見事。伸びのある美声で愛の悲しみを歌う。アルフォンス11世のフロリアン・センペイも、この権力によって愛人を占有しようとする国王の嫌味なところと誠実さをうまく歌ってとてもいい。バルタザールのエフゲニー・スタヴィンスキーはもしかして少し不調なのかもしれないが、あまり声が出ていない。とはいえ、十分に聴かせてくれる。イネスのカテリーナ・ディ・トンノは、ちょっと軽率で、しかしかわいげのある役をうまく歌っている。

 ヴァレンティナ・カラスコの演出はかなりオーソドックスだと思うが、宮廷の着飾った貴婦人たちにかなり高齢の女性たち(たぶん平均年齢70歳くらい?)を使っている。宮廷の表面のみのきらびやかさを強調しているのだろうか。

 これまた私が今、仮住まいで使っている貧弱な装置のせいかもしれないが、リッカルド・フリッツァ指揮のドニゼッティ歌劇場管弦楽団に勢いを感じない。もう少しよい装置を使えるようになったら、もう一度聞きなおしてみる必要がありそう。

 

チマローザ 「女の手管」2022106,8,9日 フラーヴィオ・ヴェスパジアーノ劇場(レアーテ音楽祭ライヴ)

 

 チマローザの珍しいオペラ。ストーリーは他愛ないが、オペラとしてはなかなかおもしろい。同時代のパイジェッロなどとよく似た雰囲気。ロッシーニからロッシーニらしさを引いたような感じとでもいうか。

 演奏については、十分に鑑賞には耐えるが、素晴らしい演奏というわけではない。オーケストラはアレッサンドロ・デ・マルキ指揮のテレージア管弦楽団。古楽器の集団。ちょっと生硬な感じがしてしまう。もう少し自然に流れないものか。

 歌手陣もあまり高レベルではない。ベッリーナのエレオノーラ・ベロッチ、ドン・ロムアルドのマッテーオ・ロイ、レオノーラのアンジェラ・スキザーノはなかなかいい。だが、ドン・ジャンパオロのロッコ・カヴァルッツィとエルシーリアのマルティーナ・リカリは少し声が弱く、フィランドロ役のヴァレンティーノ・ブッツァは音程が不安定に私には聞こえる。なぜこの人が主役格を歌っているのか私には納得できない。

 チェーザレ・スカルトンの演出は、かなり意図的だと思うが、あえて18世紀的。簡素な舞台に、18世紀の衣装で現れる。だが、動きがとてもきびきびしていて、動きがリズミカル。演出面ではとても楽しめた。

 まだまだこれからの若い人たちの作り上げたオペラ公演といったところ。チマローザのオペラを知るにはとてもありがたい映像だった。

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