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新国立劇場「ドン・パスクワーレ」 ドニゼッティの世界を堪能した

 202428日、新国立劇場で、ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」をみた。とても良かった。心から楽しめた。

 やはりドン・パスクワーレ役のミケーレ・ペルトゥージが圧倒的に素晴らしい。この歌手、私は音楽ソフトでかなりみているが、良かったり悪かったりだった。が、今回、実演で聴くと凄い! 圧倒的な声量で自在に歌いまわす。声の演技も軽妙でもあり、声そのものに深みもある。マラテスタを歌うのは上江隼人。このブログで、たびたび「日本人勢も引けを取らない」と書いてきたが、今回はそのレベルではない。まさに世界の第一線で活躍している人の歌。見事だった。とりわけ、第三幕の早口の混じるペルトゥージと上江の二重唱は圧巻。エルネストのフアン・フランシスコ・ガテルは、最初のころ、声のかすれを何度か感じたが、その後持ち直して、とてもきれいな声を聴かせてくれた。ノリーナのラヴィニア・ビーニもきれいな、声量のある声でチャーミングに歌った。新国立劇場合唱団もとてもよかった。

 指揮はレナート・バルサドンナ。適度な表現を加えてとても音楽の語り口がうまい。ただ、ちょっと地味な音楽の作り方だと思った。もう少し盛り上げてくれると嬉しい。

 ステファノ・ヴィツィオーリの演出はきわめてオーソドックス。たぶん原作に設定されている通りの時代の衣装、(確かめたわけではないが)おそらく台本通りの仕草。中央に据えた小屋を広げたり畳んだりして、ドン・パスクワーレの書斎や外の光景を作り出す仕掛けはとてもおもしろかった。

 序曲の間はずっと幕が閉まったままで、音楽を十分に味わうことができ、その後も台本に書かれている(と思われる)通りに舞台が進んでいく。私がオペラに親しみ始めたころにはこれが当然だったが、これほどオーソドックスなのは久しぶりだった。私のようなオールド・ファンにはこのような演出はありがたい。たまにこれほどオーソドックスだとむしろ新鮮に感じる。ともあれ、とても満足。ドニゼッティの肩の凝らないオペラの世界を堪能した。

 とはいえ、ドン・パスクワーレは70歳だという。私より年下ではないか! このオペラのテーマを言葉を選ばずに言うと、「年寄りは若い女と結婚しようなどと思わずに、おとなしく死んで行け」ということ。私はこれから先、若い女性と再婚することはきっとないだろうし、おもしろいオペラなので堅いことを言う気はないが、「もう少し年寄りにも希望を与えてくれよ」と言いたくなる。観客の半分くらいは高齢者なんだから!

 そういえば、この頃、私がオペラを見ながら、自分と重ね合わせてしんみりしてしまう役は、「セヴィリアの理髪師」のバルトロだったり、「ワルキューレ」第三幕のブリュンヒルデに対するヴォータンだったり、「ドン・カルロ」のフィリッポ二世だったり、「ばらの騎士」のファニナルだったりする。うーん、トシだ!!

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