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芸劇「美しきエレーヌ」 最高に楽しかった!

 2024217日、東京芸術劇場でコンサートオペラ、オッフェンバック 喜歌劇「美しきエレーヌ」(演奏会形式)を聴いた。とても充実した演奏だった。最高に楽しかった。

 演奏会形式だが、ある程度の扮装はして、土屋神葉という若い役者さんによる日本語の語り(エロス=キューピッドの役を演じつつ、人物や物語を紹介するという趣向)がついての演奏。とても分かりやすく、堅苦しくなくてとてもうまいやり方だと思った。この方、私は初めて知ったが、朗読などで活躍している人らしい。今後も活躍の幅を広げてほしいものだ。こうした語りも含めて、佐藤美晴の構成演出だというが、実に見事。

 ザ・オペラ・バンドというオーケストラの音にもびっくり。得体のしれない楽団かと思っていたら、とんでもない。素晴らしく切れの良い美音。それもそのはず、コンサートマスターの長峰高志さんをはじめ、N響などでよく見ていた(あるいは、今も見ている)顔があちこちに。超一流オーケストラではないか! 指揮の辻博之も、歯切れがよくメリハリが効いた演奏で素晴らしい。ザ・オペラ・クワイアの合唱も、手ぶり、身振りが入って音楽的に見事なだけでなく視覚的にも楽しめた。

 歌手陣もきわめて高水準。やはり何よりも、エレーヌの砂川涼子が素晴らしい。エレーヌという絶世の美女役を歌うのに、視覚面でこれほど違和感のない歌手は稀有というしかない。声の面でも清澄にして気高く、しかもここぞという時には強い声が出る。パリスの工藤和真も高音の威力に圧倒された。ほかの人たちもとても良かったが、この二人が図抜けていると思った。

 メネラオスの濱松孝行、アガメムノンの晴雅彦、オレステスの藤木大地、カルカスの伊藤貴之、アイアスIの反中洋介、アイアスIIの堀越俊成、いずれも音程がよく、声が伸びていた。時にマイクを使っているせいもあったかもしれないが、全員が無理のない発声だった。

 やはりオッフェンバックのオペレッタは楽しい。何はともあれ、浮世のわずらわしさ、人生の悲しさ、生きる辛さをしばし忘れさせてくれる。まさに躁状態になる。こんな体験はめったにできない。私はオッフェンバックのオペレッタが大好きなのだ!

 ただ、この「美しきエレーヌ」もそうだが、「地獄のオルフェ」も、オリジナルのまま上演すると現代の日本ではあまりにわかりにくく、無駄が多くなる。今回のようなやり方がこれからのオッフェンバックのオペレッタ上演の参考になるのではないか。

 オッフェンバックのオペレッタはまだまだたくさんある。何らかの形で日本でも上演してくれるとこんなうれしいことはない。

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