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バッティストーニ&東フィルの「カルミナ・ブラーナ」 良かったが、期待ほどではなかった

 2024313日、東京オペラシティコンサートホールで、東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴いた。指揮はアンドレア・バッティストーニ。曲目は、前半にレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリア第2組曲、後半にオルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」。

 レスピーギのこの曲は初めて聴いた。「リュートのため」とタイトルにあるが、もともとリュートは使われていないとのこと。バロック的な雰囲気と近代的な雰囲気がないまぜになってとてもおもしろい。4つの部分にそれぞれ雰囲気の異なったオーケストレーションがなされていて、それもおもしろい。楽しめた。

 が、なんといっても、目当ては「カルミナ・ブラーナ」。バッティストーニの「カルミナ・ブラーナ」はきっとすごいだろうと期待してやってきたのだった。

 第1曲「おお、運命よ」の合唱から、ダイナミックで振幅の大きなつくり。切れがいいし、躍動感もある。合唱もしっかりと声が出ているし、東フィルも大健闘。木管も金管もしっかりと音を出している。

 が、どういうわけか、私は盛り上がりを感じなかった。

 生真面目すぎるのかな?と思った。意識的なのか、そもそもそんなものなのか、歌手もオーケストラ団員も合唱団員もあまりに生真面目な顔。そうなると、この諧謔に富み、笑い出したくなるような箇所のたくさんある音楽が炸裂しない。「丸焼きにされる白鳥の歌」のあたりから少しユーモアが出てきたが、もっと初めから出してもよかったのではないか。この曲は、躍動して爆発して、過酷な運命もなんのその、エネルギーとユーモアで世界をぶっ飛ばそうという音楽なのだと思う。もっとわくわくドキドキした音楽であってほしい。もうちょっと理性をなくして子どもの心になっていいのだと思う。バッティストーニがダイナミックに、そしてエネルギッシュに演奏しながらも、まだそんなエネルギーが欠けていると思った。

 とはいえ、第3部になると大きく盛り上がって、わくわく感が高まってきた。最後の2曲は圧巻。初めからこうであってほしかった。

 ソプラノのヴィットリアーナ・デ・アミーチスは本当の素晴らしい声。深みがあり、しなやかさがあり、しっとりして、しかもチャーミング。バリトンのミケーレ・パッティも余裕のある見事な声。カウンターテナーの彌勒忠史も大健闘。新国立劇場合唱団も世田谷ジュニア合唱団もみごと。

 とても良い演奏だった。ただ、私はもっと炸裂した「カルミナ・ブラーナ」を期待してたのだった。

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