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東京春祭 ショスタコーヴィチの3つのソナタ 満足して聴いた!

 2024329日、東京文化会館小ホールで東京春音楽祭でショスタコーヴィチの室内楽を聴いた。

 曲目はチェロの上野通明によるチェロ・ソナタニ短調、ヴァイオリンの周防亮介によるヴァイオリン・ソナタ ト長調、ヴィオラの田原綾子によるヴィオラ・ソナタ ハ長調。ピアノはすべて北村朋幹。

 とても良い演奏だった。まず、北村朋幹が素晴らしい。シャープでダイナミックでヴィヴィドな音。ショスタコーヴィチの室内楽は、抑圧されていたものが噴き出してヒステリックに爆発する…といった演奏になりがちで、それが魅力ではあるのだが、今日の演奏を聴くと、まったくそうではなかった。心の中にあるマグマのようにたまった生のエネルギー、しかもわくわくするような快活なものではなく、醜いもの、不分明のものも入り混じったエネルギーの爆発に思えた。もちろん、快活で明るくはないが、決して陰湿ではない。

 弦楽器の奏者たちも、見事なテクニックと音楽性。上野のチェロはおおらかな感じがあって叙情性が表に出ており、不思議な情緒があった。周防のヴァイオリンの第2楽章の凄まじい表現に圧倒された。ヴィオラ・ソナタはベートーヴェンの「月光」や「英雄」などを思わせるモティーフが出てくる不思議な曲だが、田原のヴィオラは内に秘めた思いが一層こもって聞こえた。ただ、最終楽章、「長いなあ・・・!」と思った。もちろん、演奏家に責任はまったくないのだけど。

 ただ、私はショスタコーヴィチ愛好者ではない。これらの曲も、これまで数回聴いたことがある程度。したがって、これ以上のことは言えない。ともあれ、とても満足して聴いたのだった。

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