オペラ映像「コリントの包囲」「チャロデイカ」
現在の家に引っ越してから2週間以上たつ。やっと、段ボール箱がほぼなくなり、それなりにもののありかが大体わかるようになり、日常生活を支障なく送れるようになった。まだまだ必要なものが見つからずにあちこちを必死に探すことがあるが、それもだいぶ減ってきた。
最近購入の大型テレビ(といっても55型だが)でオペラを2本見たので、簡単な感想を記す。
ロッシーニ 「コリントの包囲」2017年8月 ぺーザロ、アドリアティック・アリーナ
全体的にはとてもレベルの高い上演だと思う。ロベルト・アバドの指揮はきびきびしてドラマティック。歌手陣も充実している。中でも素晴らしいのは、もちろんパミーラのニーノ・マチャイゼ。張りのある美しい声、この役にふさわしい容姿。クレオメネのジョン・アーヴィン、ネオクレスのセルゲイ・ロマノフスキーもしっかりした声。ただ、なかなかいいといったレベルではある。肝心のマオメット2世は、声の圧力と、いかにも暴力的な演技はとても魅力的なのだが、フランス語があまりにめちゃくちゃ。一人だけフランス語に聞こえない! フランス語のオペラなのだから、さすがにこれはまずいだろう!
カルルス・パドリッサの演出。水の大型容器を使って造形している。水が貴重なギリシャを舞台にして、ギリシャとトルコの水をめぐる争いを連想させ、容器の青色で美しい世界を作り出している。
私は、ロッシーニに関しては、オペラ・セーリアよりもオペラ・ブッファのほうが圧倒的に好きなのだが、もちろん、セーリアもドラマティックでとてもわくわくする。
チャイコフスキー 「チャロデイカ」2022年12月30日 フランクフルト歌劇場
実演はもちろん映像も含めて、今回初めてこのオペラをみたと思う。音楽もとても魅力的。ストーリーもなかなかおもしろい。ただ台本には大いに問題がありそう。この内容だったら、なにも3時間以上かける必要はないと思った。だらだらとセリフが続く。
演奏については本当に素晴らしい。圧倒的なのは、やはりクーマを歌うアスミク・グリゴリアン。完璧な声のコントロール、そしてここぞという時の強く芯のある美声、表現の幅、そして魅力的な演技と容姿、どれをとっても素晴らしい。チャイコフスキーまでもこんなに見事に歌うなんて! ただワーグナー、シュトラウス好きの私としては、イタリアオペラやロシアオペラを歌う前に、ワーグナー、シュトラウスのほかの役を歌ってほしいというのが切なる願いだ! この人のエリーザベトやエルザやジークリンデやイゾルデやクンドリやマルシャリンやアラベラやアリアドネやマドレーヌを観たい、聴きたい!
ユーリのアレクサンドル・ミハイロフも見事な声。棒立ちに近い演技だが、これは朴訥で飾らない人物像を描くための演出なのだろうか。悪役であるイェフプラクシア公妃のクラウディア・マーンケも声はもちろん、揺れ動く心理を表現してとても魅力的。私のような高齢者から見ると、とても肉感的で美しい。ニキータ公子のイアン・マクニールもこの役にふさわしい。ただ、マムイロフ役のフレデリック・ヨストの声が不安定なのが気になる。
ヴァレンティン・ウリューピンの指揮もとてもいいと思う。知らない曲なので何とも言えないが、十分にチャイコフスキーらしい甘美で情熱的な雰囲気にあふれている。演出はヴァシリー・バルハトフ。強く生きようとする女クーマを狼にたとえているのだろう、たびたび狼の姿が映し出される。舞台を現代のロシアに移されているが、それほどの違和感はなく、すんなりと現代社会のひとりの女性の悲劇としてみることができる。
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