ハーン&ヘフリガー 盛り上がらないブラームスだった
2024年5月16日、東京オペラシティ・コンサートホールでヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)とアンドレアス・ヘフリガー(ピアノ)のデュオコンサートを聴いた。曲目はブラームスのヴァイオリン・ソナタ全3曲。
ヒラリー・ハーンは好きなヴァイオリニストのひとりだ。実演を何度か聴いたし、CDもかなりの数持っている。怜悧という言葉がぴったりの知的で鋭く、静かに燃える演奏に私は惹かれてきた。今回、ブラームスのソナタだということで大いに期待して出かけた。しかも、ピアノはアンドレアス・ヘフリガー。レコードで親しんだエルンストの息子さん。1970年代(?)にエルンストの「詩人の恋」(?)の実演を東京で聴いた記憶もある。
3曲ともに、かなりのスローテンポ。ゆっくりと、じっくりと、一つ一つの音をいつくしむように演奏する。以前よりも穏やかで暖かい音になったような気がするが、相変わらずの美音。すーっと鋭い線で空中に描いたような音。それだけでうっとりする。丁寧に音楽と進めていく。
ただ、第2番になっても、後半の第3番になっても、どの楽章もゆっくりと同じような雰囲気で弾くので、私としては少々退屈してしまった。私がこれまで聴いたハーンのヴァイオリンは、確かに情熱的に高揚するというような演奏ではなかったが、怜悧に燃え上がったような気がする。私は、ハーンが弾くと、ブラームスの抑制した情熱がどのような音になって表れるのかを楽しみにしていたのだった。だが、いつまでも燃え上がらない。じっくりとゆっくりと美音が続く。だが、それだと私としては少々物足りない。私がブラームスの室内楽に求めているのは、心の奥の方で抑制されながらも燃え上がる情熱なのだが、それが聞き取れない。
もしかしたら、ハーンはブラームスのソナタに合わないのではないかと思った。少なくとも、私の好きなブラームスのソナタにならない。
第3番の終楽章ではかなり高揚したが、それでもやはりきわめて冷静。確かにこれがハーンの魅力ではあるが・・・。
アンコールは、ハーンが紙を見ながら日本語で曲名を紹介。ただ、残念ながらよく聞き取れなかった。あとで表示を見たところ、ウィリアム・グラント・スティル作曲の「マザー&チャイルド」とのこと。しっとりとした音楽だった。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- ヴァン・カイック弦楽四重奏団 音楽そのものの醍醐味!(2026.10.09)
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)

コメント