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2024年ラ・フォル・ジュルネ東京 5月3日

 東京国際フォーラムで今年もラ・フォル・ジュルネ東京が始まった。コロナでいったん中断、その後、規模を縮小しての開催。今年のテーマは「オリジン」。

 私は2005年にラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンが初めて開催されたとき、「アンバサダー」という立場でこの音楽祭にかかわったため、それ以来、フランスでも日本でも、かなりたくさんのコンサートを聴いてきた。昨年まで有料公演だけで521のコンサートを聴いたことになる。今年は、円安の影響だろう、海外からのオーケストラは参加せず、外来演奏家の数も少ないが、それでも十分に盛況のようだ。

 今日は三つのコンサートを聴いた。簡単に感想を書く。

 

・トリオ・オウオン

 トリオ・オウオンはオリヴィエ・シャルリエ(ヴァイオリン)、ヤン・ソンウォン(チェロ)、エマニュエル・シュトロッセ(ピアノ)の3人が2009年に結成したピアノ・トリオ。いずれもラ・フォル・ジュルネではおなじみのベテラン演奏家だ。

 初めにスメタナのピアノ三重奏曲ト短調。素晴らしかった。「わが祖国」を名曲と思えない私は、スメタナをあまり聴いてこなかったが、これは名曲だと思った。演奏も情熱にあふれ、覇気があり、リリシズムがある。シャルリエの音色はまさにいぶし銀。人生を知った男の深い思いがこもっている。ソンウォンのチェロも折り目正しくもロマンティック。シュトロッセのピアノも勢いがある。

 次にドヴォルザークのピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」。こちらも、ドヴォルザーク特有の親しみやすく憂いのあるメロディとドゥムキーの舞曲の軽快なリズムがうまく重なってとても良かった。私はシャルリエの音色に心惹かれる。

 

アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)、神奈川フィルハーモニー管弦楽団 齋藤友香理(指揮)

 曲目は、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲とベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番 ハ短調。

「フィガロ」序曲については、もう少し躍動感がほしいと思ったが、神奈川フィルもしっかり演奏。

 ベートーヴェンの協奏曲については、エル=バシャのピアノは折り目正しく格調高い。しかも、エネルギーにもあふれていて素晴らしい。が、私は齋藤の指揮に問題を感じた。一言で言って、メリハリがベートーヴェン的ではない。少なくとも私の考えるベートーヴェンではない。のっぴりして、ふにゃふにゃして聞こえる。柔和でしなやかなのはいいのだが、構成感がなく平板になるので、私にはかなり退屈に思えた。

 

辻彩奈(ヴァイオリン)、兵庫芸術文化センター管弦楽団、クリスティアン・アルミンク(指揮)

 初めにワーグナーの「ジークフリート牧歌」。しなやかで柔和で、しかも立体感のある演奏。とても良かった。ただ、やはり私にはこの曲は退屈。もう少しどうにかならないかと思ってしまう。

 辻をソリストに加えてのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調はとてもよかった。辻の演奏は、少し前のような挑戦的な激しさが影を潜め、もっと穏やかでしなやかになっているのを感じた。音色の美しさが際立ち、高音が特に素晴らしい。第3楽章は明るくてワクワクする雰囲気。ただ、ホールが大きすぎてヴァイオリンの音がじかに届かない感じがあるが、これは致し方ないところだろう。久しぶりにアルミンクの指揮を聴いたが、とても好感を持った。オーケストラからとてもニュアンス豊かな音を引き出していた。

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