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ダネルSQのヴァインベルクの四重奏にびっくり!

  2024610日、サントリーホールブルーローズで、サントリーホールチェンバーミュージックガーデン、ダネル弦楽四重奏団を中心とするコンサートを聴いた。曲目は、前半にプロコフィエフの弦楽四重奏曲第2番とヴァインベルクの弦楽四重奏曲第6番ホ短調、後半にピアノの外山啓介が加わってショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲ト短調。私にはあまりなじみのない曲ばかりのコンサート。以前、ダネル弦楽四重奏団の演奏を聴いて圧倒された記憶があったので、ともあれチケットを購入したが、私に楽しめるかどうか、ちょっと心配して会場に出かけた。

 まず、ダネル弦楽四重奏団のあまりに超絶技巧のエネルギッシュな演奏に圧倒された。これらの難曲をものすごい速度で、しかも正確に、からだ全体を使った凄いエネルギーで弾きまくる。曲もすごいが演奏もすごい。プロコフィエフの曲は、第二次世界大戦のさなか、コーカサス地方に疎開していた時に作曲したとのこと。なるほど、民俗舞曲風で、全体が激しいリズムにあふれている。まさしく太鼓の音や足音が聞こえてきそう。プロコフィエフらしい躍動感にあふれる音楽だった。

 ヴァインベルクのこの曲は初めて聴いた。ショスタコーヴィチを意識しているのだろう、まさにショスタコーヴィチ風。ショスタコーヴィチの激しい部分だけを取り出してつなげたような雰囲気。息もつかせぬような激しい感情が吹き荒れ、楽器は躍動し、楽器同士が絶妙に重なり合い、つなぎあって嵐のような雰囲気をつくる。曲もすごいが、これをものすごいエネルギーで正確に演奏する四人はあまりにすごい(ヴァイオリン:マルク・ダネル/ジル・ミレ、ヴィオラ:ヴラッド・ボグダナス、チェロ:ヨヴァン・マルコヴィッチ)。いわゆる現代曲をあまり聴かない私は、ただ圧倒されて聴くばかりだった。

 後半にショスタコーヴィチ本人の曲だと疲れると思ったが、後半のピアノ五重奏曲は、肩の力を抜いた曲だったので、ともあれ安心した。とはいえ、なんといってもショスタコーヴィチなので、一筋縄ではいかない。感情が入り組み音楽が入り組み、明るさと絶望感のようなものが入り混じっている。が、深刻にならないので救いがある。

 とても楽しめた。第3楽章のスケルツォはとてもおもしろかった。特にショスタコーヴィチ・ファンというわけではない私も、この曲は何度か聴いた記憶はあり、特にこのスケルツォは印象に残っていた。この人らしい魅力的なスケルツォ。それを5人は見事に演奏。アンコールでもこの部分を演奏。

 私にはなじみの薄い曲のコンサートだったが、ダネル弦楽四重奏団の演奏のおかげで存分に楽しませてもらった。

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