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ヴォーチェ弦楽四重奏団&波多野のドビュッシーが素晴らしかった

  202467日、サントリーホールブルーローズでチェンバーミュージック・ガーデンの一環で、ヴォーチェ弦楽四重奏団を中心としたコンサートを聴いた。ただし、ヴァイオリンのサラ・ダイヤンが体調不良とのことで、代わりに、コンスタンス・ロンザッティ(元ディオティマ弦楽四重奏団)が演奏。チェロ奏者も変更になっていた。

 曲目は、前半にドビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調と現代作曲家バルメール(会場に来ておられた)の「風に舞う断片」、後半にメゾ・ソプラノの波多野睦美が加わってドビュッシー作曲(バルメール 編曲)の「抒情的散文」の3曲とラヴェルの弦楽四重奏曲。

 素晴らしい演奏だった。ドビュッシーの弦楽四重奏曲は、先日、戸田弥生さんを第一ヴァイオリンとするメンバーで名演奏を聴いたばかりだったが、まったく趣の異なる演奏だった。戸田さんらの演奏は劇的な魂の動きを描き出し、情熱的に燃え上がっていたが、今回の演奏はあくまでもフランス的で、重くならない。激しく盛り上がるというわけでもない。そうでありながら、緊張感にあふれ、深い思いにあふれている。戸田さんが第一ヴァイオリンを務める演奏と同じように第3楽章が緊張感にあふれていたが、しかし、こちらはここでもずっとしなやかで柔らかい音。うーん、なるほどこれがフランス的演奏か!

 バルメールの曲は、弦をこする音がまさに風を描くかのよう。あちこちに風が舞い、木々が反響し、人の心が舞うような音楽。おもしろく聴くことができた。

 波多野がくわわってのドビュッシーの歌曲も素晴らしかった。この歌曲集は、ピアノ伴奏では何度か聴いたことがあったが、もちろん弦楽四重奏ヴァージョンは初めて。弦楽器だけなのにとても色彩的。それにしても波多野の発音が美しい。私にわかる限り完璧なフランス語で、ヴィブラートの少ない澄んだ声で音程正しく歌う。細かいところまで神経が行き届いており、言葉の美しさがそのまま伝わる。言葉の内容も深く理解しているのを強く感じる。素晴らしい歌だと思った。

 最後はラヴェルの弦楽四重奏曲。ただ、実は第2楽章までは素晴らしいと思って聴いていたのだが、後半、少し緊張感が途切れたように感じた。ドビュッシーほどには感動しなかった。もしかしたら、私の方がちょっとついていけなくなっただけかもしれないが。最後の盛り上がりに欠けたような気がした。

 とはいえ、いかにもフランス的な弦楽四重奏団の演奏を聴くことができて、とてもよかった。大変満足。

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