エウリカカルテットのベートーヴェン 正統派の若々しい演奏に感動
2024年7月31日、東京文化会館小ホールでエウレカカルテットのベートーヴェン・ツィクルスVol.5を聴いた。曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第10番「ハープ」と第12番。
エウレカカルテット(廣瀬心香、森岡聡、石田紗樹、鈴木皓矢)は各地のオーケストラで活躍する若手の実力派が結成した弦楽四重奏団。私は一度だけ彼らの演奏を聴いて感銘を受けた記憶がある。今回、ベートーヴェン・ツィクルスに足を運んだ。素晴らしい演奏だった。
明るくて明快な音。若々しい音と言ってよいだろう。アンサンブルがとてもいい。四人が音質をそろえ、きわめてバランスよく音楽を進めていく。小細工をしない正統派の音楽だと思う。誇張することもなく、徒に煽ることもしない。若々しい演奏とはいっても、それを売りにして元気いっぱいに演奏するわけでもない。もちろん、テンポに細工も加えない。だが、テンポよく音楽が進み、息が合って音が重なっていく。だからこそ、自然でありながら緊迫感にあふれた音楽が作られていく。中期から後期のベートーヴェンの宇宙が作り出される。
第10番の第3楽章の高揚、第4楽章の変奏のニュアンスもとてもおもしろかったが、私は第12番の演奏に特に惹かれた。冒頭から実に深みのある響き。第2楽章の叙情的な緊張感も見事。終楽章のベートーヴェンの晩年の境地を語るような明るい音がとても印象的に響く。
とても好感を持った。感動した。ただ、私は素人なので、具体的にどうすればいいのかわからないが、世界を代表する弦楽四重奏団になるには、あと少しの独自のものが必要だろうと思った。正統派のとても良い演奏で、素晴らしいと思うのだが、あと少し魂を震えさせるものが欠けている。もう少し凄味のようなものがあるともっと飛躍できるだろう。
今日は、昼間に吉田志門と碇大知の歌曲を聴き,夕方はエウリカカルテット。若手の実力派演奏を楽しんだ。世界に踏み出していける才能だと思う。頼もしく思った。
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