イザイとフォーレ 若々しい見事な演奏!
2024年9月12日、みなとみらい小ホールで、イザイとフォーレと題するコンサートを聴いた(日本イザイ協会主催、絆シリーズ第5弾)。出演は、北村朋幹(ピアノ)とエール弦楽四重奏団(山根一仁・毛利文香・田原綾子・上野道明)。曲目は前半にフォーレの「エレジー」と「夢のあとに」(田原・北村)、イザイの「ポエム・エレジアク(クニャーゼフによるチェロ編曲版」上野・北村)、フォーレのヴァイオリンソナタ第2番(毛利・北村)、後半にイザイの「詩曲 糸車の情景」(山根・北村)、フォーレのピアノ五重奏曲第1番。
いずれも好感の持てるとてもいい演奏だった。若々しい演奏と言ってよいだろう。
北村のピアノは、とても繊細。一つ一つの音がとても美しく、まさにフォーレの内向的で情熱を秘めた心を描き出す。田村のヴィオラは、しなやかでロマンティック。エレジーの情感は見事。上野のチェロもとてもロマンティックでいいのだが、やはり私はチェロで演奏されると、この曲はイザイの曲に聞こえない。クニャーゼフ編曲だということで私の先入観なのかもしれないが、ロマンティックすぎる気がする。
毛利のソナタも率直でとてもいい。妙にひねらずに、率直に素直に演奏。飾らない高貴さのようなものが醸し出される。終楽章の盛り上がりは素晴らしかった。フォーレの精神が迫ってきた。
山根の「糸車の情景」は、私がCDで聴いたこの曲とあまりに雰囲気が異なるので戸惑った。山根はかなりスケール大きく、おそらくは少し遊び心を加えて演奏。私はCDを聴きこんでいるわけでもなく、この曲をよく知っているわけでもないので、この演奏をどう判断するのかわからない。
五重奏曲もとてもよかった。名曲だなあとつくづく思う。第1楽章は楽器によって繊細な心の動きが絡み合う。フォーレらしい美しいメロディ。それぞれの楽器が本当に人間の心の襞を語っているかのよう。同じような旋律の繰り返しだが、徐々にやるせない気持ちが高まっていく。第2楽章は透明でしなやかな曲想。ただ、ちょっと集中力が途切れたように感じられるところがあった(もしかしたら、私の集中力が切れたのかもしれないが)。第3楽章は単純な音型で、肩の力の抜けたある種、卓越した境地に達しているかのように感じる。のびやかな力を持った若々しい音であるがゆえに、いっそう説得力があった。
日本イザイ協会の主催コンサート。この協会、素晴らしいコンサートをしばしば企画してくれる。企画力に感服! そしてその活動力に頭が下がる。
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