佐藤俊介&スーアン・チャイ ポルタメントの多用が気になった
2024年10月11日、浜離宮朝日ホールで佐藤俊介(ヴァイオリン)&スーアン・チャイ(フォルテピアノ)デュオリサイタルを聴いた。曲目は、前半にブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番、ブラームスの親友であったヴァイオリンの名手ヨアヒムのロマンス ハ長調、ブラームスのソナタ第2番、後半にクララ・シューマンの3つのロマンスとブラームスのソナタ第3番。ブラームスとそれを取り巻く人たちの音楽がその時代の楽器で演奏されたわけだ。佐藤はガット弦で演奏。
内向的で優しくて抒情的。ぐっと抑えたロマンティックな感情。その意味ではとても良い演奏だった。フォルテピアノも生き生きとした音でそれを支える。ソナタ第3番は大きく盛り上がった。
ただ、私としてはヴァイオリンにあまりに頻繁にポルタメントが用いられるのが気になった。今回は言ってみれば、「ポルタメント大会」とでもいえるような演奏だった。クララの曲はほとんどずっとポルタメント。第3番のソナタの第二楽章もほとんどすべての音がポルタメントではないと思うほど。アンコールもポルタメントの連続!
ほかの楽器とともに演奏している中でこうしたヴァイオリンのポルタメントが時折出てくるのは、それなりの彩と思えるが、これほど頻繁だと、情緒に流れとりとめがなくなってしまう。音楽が立体的に構築されず、ふんにゃりする。少なくとも私の好きなブラームスではなくなる。もっと言えば、なんだか酒に酔ったような気持ちになってしまう。後半はポルタメントに辟易してしまった。
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