エーネスのベートーヴェン2日目 圧倒的なクロイツェル!
2024年11月16日、紀尾井ホールで、ジェイムズ・エーネス ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会の2日目を聴いた。ピアノはオライオン・ワイス。2日目は第6番から第10番まで。2日で全曲なので、かなりハード!
初日に続いて、素晴らしい演奏だった。
初日は、まったく誇張もなく、主観でゆがめることもなく、ただただ正確な音程と切れの良い弓さばき、自然な構築によって素晴らしい音楽を作り出していることに感銘を受けた。心が洗われるような気持になり、ベートーヴェンの初期の音楽の生き生きとして初々しい響きに魅了された。
2日目は中期以降のベートーヴェンのソナタ。スケール感が増し、より深い精神を表現するソナタなので、少し勝手が違うのではないかと思って出かけた。が、やはりエーネスは凄い。
初日と同じように端正で濁りのない音。が、最初の第6番から、前日とは違ったスケールの大きさを示してくれた。完璧にコントロールされた音で、ベートーヴェンらしい情熱的で宿命的な音楽を作り出していく。
とはいえ、冒頭の第6番は、初日の第1番と同じように、少しだけ自然な流れに乗り切れないところがあるように思った。ちょっとぎくしゃくしていたというか。第7番からは自然な流れの中にスケールの大きな音楽が鳴り出した。エーネスの音は、それほど宿命的な雰囲気を前面に出さない。がさつに激しく、というわけではない。あくまでも端正で美しい。しかし、音の切込みがシャープなので心にぐさりと刺さる。第2楽章は天国的な美しさ! 第8番の第1楽章は、とりわけピアノとヴァイオリンのやり取りがとても見事だった。二人の音楽がぴたりと合って爽快! ベートーヴェンの音楽は無理矢理に宿命的にしなくても、ただ端正にしっかりと演奏するだけでこれほど宿命的でスケールが大きくなるのだと改めて納得する。
そして、なんといっても第9番「クロイツェル」は圧倒的だった。これも特にスケールを大きくしようという意図はないだろう。だが、第1楽章の序奏から、端正で鮮烈な響きによって大きな世界が展開される。第2楽章のそれぞれの変奏曲のニュアンスにも圧倒された。そして、第3楽章の壮大な盛り上がり。私は何度も感動に震えた。
第10番は、明るく屈託なく清澄。すべての苦悩を乗り越えた後の不思議な単純さ。そうした音を二人が再現していく。これも素晴らしかった。
大変満足なベートーヴェン全曲演奏だった。感動した。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)

コメント