« パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル 圧倒的なジュピター! | トップページ | アンジェリコ&読響の第九 若々しいが、がさつに思えた »

ノット&東響「ばらの騎士」(演奏会形式) 至福の時!

 2024年12月13日、サントリーホールで、東京交響楽団 特別演奏会「ばらの騎士」(演奏会形式)を聴いた。圧倒的な名演だった一昨年の「サロメ」、昨年の「エレクトラ」に続く演出監修サー・トーマス・アレン、指揮ジョナサン・ノット、東京交響楽団によって演奏されるのはリヒャルト・シュトラウスの楽劇の演奏会形式のシリーズ。今年もまた圧倒的に素晴らしかった。至福の時を味わった。

 最高の歌手陣! 元帥夫人を歌うミア・パーションは歌も仕草も気品にあふれ、美しい強い声で、しかも繊細に、まるでリートを歌うように元帥夫人の複雑な心境を歌う。オックス男爵のアルベルト・ペーゼンドルファーは深々とした声で愛嬌あるがさつ者を歌う。第二幕の幕切れは圧巻! マルクス・アイヒェの歌うファニナルは、まさに憎めない成り上がり貴族。滑稽で、しかし人情味あふれている。これほどまでに存在感のあるファニナルは初めて聴いた。この三人のベテランはさすがの歌唱。現在、これ以上に歌える歌手がそれほどいるとは思えない。

 オクタヴィアンのカトリオーナ・モリソンもベテランに劣らず素晴らしかった。近いうちにワーグナーのヒロインを歌うようになるだろう。余裕のある声。超大型新人といったところ。ゾフィーのエルザ・ブノワも可憐で高音が美しい。この人もこれから世界中で主要な役を歌うのだろう。

 日本人歌手も、ヴァルツァッキの澤武紀行、マリアンネの渡邊仁美、アンニーナの中島郁子、公証人・警部の河野鉄平、テノール歌手の村上公太も健闘。

 ノットの指揮はかなり硬質だと思う。シュトラウスらしく豊穣で官能的というわけではない。生真面目で硬質な音で、かなり高速。きびきびと音楽が進んでいく。しかし、東響の音が色彩的で濁りがなく、反応がとても良いので、自然に音楽が高まっていく。私としては、もう少し豊潤で遊びがあるほうが好みなのだが、このような生真面目なアプローチもとても魅力的だと思った。シュトラウスの音楽が緻密に組み立てられているのがよくわかる。

 第3幕の三重唱とそのあとの愛の二重唱は言葉をなくす素晴らしさ! 別にこの三人のだれに対しても感情移入するわけではないのだが、この部分を聴くと涙なしにはいられない。「ばらの騎士」のこの第三幕後半と、トリスタンとイゾルデ」のいくつか部分を聴くと、私は中学生、高校生のころから現在に至るまで、至福の心持になる。今回もそれを味わうことができた。

|

« パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル 圧倒的なジュピター! | トップページ | アンジェリコ&読響の第九 若々しいが、がさつに思えた »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル 圧倒的なジュピター! | トップページ | アンジェリコ&読響の第九 若々しいが、がさつに思えた »