鈴木優人&読響 あまりにエネルギッシュなレクイエム
2024年12月3日、サントリーホールで、読売日本交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮は鈴木優人、曲目は前半にベリオの「シンフォニア」、後半にモーツァルトのレクイエム(鈴木優人補筆校訂版)。
「シンフォニア」を実演で聴くのは初めて。その昔、おそらくCDなるものが発売され始めたばかりのころだったと思う。当時まだ「現代音楽」に関心を持っていた私はブーレーズ指揮のCDを買って何度か聴いた。それ以来だから、40数年ぶりにこの曲を聴いたことになる。正直言って、なんとなく・・・しか覚えていなかった。が、とてもおもしろい曲。様々な音楽(マーラーやらドビュッシーやらラヴェルやら。ベートーヴェンも?)から引用され、レヴィ・ストロースらの文章の断片が語られる。
とても良い演奏だった。鈴木の指揮ぶりは圧巻。見事にオーケストラをコントロールし、読響も見事に華麗な音を出す。ベルリンRIAS室内合唱団のメンバー(その一人は吉田志門さん)の語りも、よくぞこんな語りができるものだと圧倒される。音の重なりも濁らない。
ただ、やむを得ないと思うのだが、私の席のすぐ近くに「音響」担当の有馬純寿さんがいて、スコアをめくりながら何やら機械をいじっておられた。気になって音楽に集中できなかった。
後半の「レクイエム」もなかなかの演奏だった。私はこれまで、鈴木優人指揮、バッハ・コレギウム・ジャパンのレクイエム(鈴木優人補筆校訂版)は何度か聴いている。また聴きたくなったのだった。
ソプラノのジョアン・ランは艶のある美声、テノールのニック・プリッチャードもとてもいい。メゾ・ソプラノのオリヴィア・フェアミューレン、バスのドミニク・ヴェルナー、そして、ここでもベルリンRIAS室内合唱団もさすがとしか言いようがない。
鈴木の指揮はエネルギッシュ。オーケストラも合唱も強く激しく奏でる。かなりテンポも速い。まさに若々しい演奏と言っていいだろう。BCJの演奏よりもエネルギーを感じた。とてもよい演奏ではある。モーツァルトがこの曲を作曲したのは、死ぬ直前だとしても35歳(だったかな?)。だから、このような若々しい演奏であっても、もちろん問題ない。
が、70歳を過ぎてかなり元気をなくしている私としては、このあまりにエネルギッシュなレクイエムについていけなかった。もう少し、死者を悼むような祈りの心がほしい。もう少ししみじみとした気持ちになりたい。しかも、エネルギッシュな演奏がずっと続くので一本調子になっているのを感じた。
アンコールは全員で「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。これはしんみりとした良い演奏だった。
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