ルイージ&N響の第九に興奮!
2024年12月23日、サントリーホールで、NHK交響楽団第9特別演奏会を聴いた。
第九の始まる前に、中田恵子のオルガンで、バッハのトッカータとフーガ ヘ長調が演奏された。第九の前にオルガン演奏がなされることが増えているが、鍵盤楽器にあまり関心のない私としては、「第九だけでいいのになあ」といつも思っている。
第九の指揮はファビオ・ルイージ。今年は、アンジェリコ指揮の読響、ワタナベ指揮の東フィルとも、私は不満を覚えたのだったが、ルイージ&N響は圧倒的名演だった。感動した! 興奮した! さすがというべきだろう。
ルイージらしいというか、シャープで力感にあふれた演奏。かなりの快速だが、オーケストラがしっかりと鳴って、一つ一つの音に生命力があるので、心の中にグイッと入り込む。すべての音が完璧にコントロールされているのを感じる。構成感もがっしりしており、推進力もすさまじい。小細工は一切ない。あまりに理にかなっており、しかもベートーヴェンの心の奥をえぐって聴かせてくれる。
第1楽章はまさに深い苦悩の奥を覗き見た雰囲気がある。最後の部分も圧倒的な盛り上がりを聴かせてくれた。第2楽章は躍動する。躍動するが、音が濁らない。第3楽章も天上を上昇していく雰囲気。清澄にして美しい。第4楽章のレチタティーヴォの部分も、まさに楽器同士が対話をしているかのよう。
バス・バリトンのトマス・トマソンの独唱は少し個性的だった。ちょっと酔っ払ったような雰囲気を感じたが。これでよかったのだろうか。これまで実演や音楽ソフトでこの人の生真面目な歌唱を聴いてきたが、少し雰囲気が違った。テノールのステュアート・スケルトンはワグネリアンらしい張りのある声。みごと! ソプラノのヘンリエッテ・ボンデ・ハンセンとメゾ・ソプラノの藤村実穂子も素晴らしかった。合唱やオーケストラに埋もれることなく、ビンビンと響く。冨平恭平合唱指揮による新国立劇場合唱団も今回はバランスが取れ、声もしっかり出ている。
いやいや、歌手陣も素晴らしいが、第4楽章でもオーケストラが圧倒的! 私は、この第九という曲、第3楽章まで音楽として完璧! そこで真面目な音楽はひとまず終わって、その後、反省会が開かれ、どんちゃん騒ぎの宴会になるのが第4楽章だと思っている。今回もその通りだと思ったのだが、ルイージの指揮では、第4楽章もそれ以前と同じようにすさまじい集中力で鳴り続ける。凄い! 折り目正しく熱狂する宴会になった!
最後まで興奮した。今年も第九に心から感動できた。
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