パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル 圧倒的なジュピター!
2024年12月9日、東京オペラシティ コンサートホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマーフィル管弦楽団公演を聴いた。
曲目は、前半にシューベルトのイタリア風序曲D591と樫本大進のソロでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、後半にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。1800年前後のウィーンの音楽。素晴らしかった。
シューベルトの序曲は、まさにロッシーニ風。ただ、そこはやはりシューベルトなので、ロッシーニほどにはあっけらかんとはいかない。だが、ういういしくてなかなかいい。ドイツ・カンマーフィルは躍動感にあふれ、音楽の喜びに満ちた音を出す。
ベートーヴェンの協奏曲は、当初、ヒラリー・ハーンがソリストに予定されていたが、体調不良とのことで樫本大進に変更。ハーンが目当てだったので、ちょっと残念。
しかし、樫本大進ももちろんハーンに引けを取らない。きりりとした切れの良い美音による堂々たるベートーヴェンだった。衒うことなく、細かいところにまで神経を注いで、実に格調高い。第2楽章は弱音が繊細でことのほか美しかった。ヤルヴィの指揮するドイツ・カンマーフィルは強い音でヴァイオリンを支える。時に激しい音が響き、音楽を深く推進していく。第3楽章も無理なく自然に盛り上がって、とてもよかった。
ソロのアンコールは、バッハの無伴奏ソナタ第3番の「ラルゴ」。ただ、この演奏については、私は樫本がこの曲によって何を訴えようとしているのかとらえきれなかった。
後半の「ジュピター」は素晴らしいの一言。低音がしっかりとして、音の輪郭を明確に作り出しているのを感じた。第2、第3楽章もロココ風のところは微塵もなく、男性的でバロック風。アクセントが強く、鳴らすところは鳴らす。テンポもしばしばいじっている。だが、音楽の要求に沿っているので、まったく不自然さは感じない。自家薬籠中の物にしているとでもいうべきか。最終楽章の音の洪水は圧倒的だった。まさに音楽の喜悦!!
アンコールはシベリウスの「悲しきワルツ」。途中、テンポが遅くなり、かすかな音になって、まるで音楽が止まるかのようだったが、このはかなくも美しいワルツを静かさを保ちながらも華やかに聴かせてくれた。パーヴォは顔も父上のネーメにますます似てきたが、この芸風、まさにネーメだと思った。以前のパーヴォは力に任せ、躍動感とダイナミックなリズムで音楽を推進していく面があったが、今回、細かい指示でオーケストラをコントロールして、ニュアンス豊かな音楽を作り出していた。アンコールにとりわけそれを感じた。かつてネーメの演奏を聴いて、この「悲しきワルツ」と同じような印象を持ったことを思い出した。
ヤルヴィ指揮のドイツ・カンマーフィルの演奏を久しぶりに聴いたが、やはり格別。満足だった。
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